水谷もりひとブログ

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【朝礼】矢野バラ園

皆さん、おはようございます。

皆さん、ご存じのように、宮崎県都城市の矢野バラ園のバラがあります。
21年まえに、矢野さんが高校生向けに講演したとき、取材したのがご縁で、以来ずっと矢野さん夫婦とお付き合いしてきました。

矢野さんが育てているバラは松田くるみ社長が大好きで、20年前から、お正月の年賀広告を出してくださったお客様へのお礼として、そのバラ束をお届けしています。

矢野バラ園では、全国でも珍しい製法で土を育てています。それが月刊誌に紹介されたこともありました。
一つは肥料づくりなのですが、スーパーで買ってきた1パック3個入りの納豆を一つは矢野さんが食べ、一つは奥さんの真由美さんが食べ、最後の一つを肥料に混ぜて、その納豆菌でさらに強い肥料を作っています。
詳しいことを説明できるほど、僕に知識がありません。

それから古い電動穴あけ機を買ってきて、直径3センチほどの穴を深く土にあけるそうです。長いストローで水をやると、水が入っていったあとに、そこに空気が入ります。
深いところまで水が入り、その後、空気が入ることで土がさらに元気になっていったそうです。

そんなことをやっているバラ農家はありません。

今、花を作っている農家がどんどんつぶれています。
冬はビニールハウスの中で重油を炊かないといけないので、その燃料費が足かせとなって採算が取れず、普通にやっていたらとてもやっていけないと。

じゃ、花屋さんのバラはどこから来ているのかというと、中南米とアフリカのケニアという重油を焚かなくてもいい、温かいところで作って、24時間で日本に届けられます。
もう日本のバラ農家は太刀打ちできないと言っていました。

こういう現象はバラだけではなく、農作物も、林業も、同じような事態になって久しいわけですね。

矢野バラ園がかろうじて生き残っているのは、うちみたいに直接生産者の矢野さんに注文してくるお客さんがたくさんいるからです。

昨日、矢野さんと一緒にご飯を食べたとき、毎年冬になるとあることが始まるという話を聞きました。
それは昼はもちろん、夜も二時間置きに起きて、ハウスを回って微妙な温度調節をするということです。
自宅のすぐ隣にあるハウスもありますが、車でちょっと走らなければならないところにもハウスはあります。

毎日、夜、二時間置きに起きてハウスに行って温度を調節している。

「なぜそこまで?」と質問すると、数年前に、それをしなかったために、ハウスの中のバラが全部凍ってダメになった経験があるからだそうです。

あの時の悲しさ、悔しさに比べたら、毎日夜2時間置きに起きることなんて、大したことじゃないと言っていました。

我が子同然のように愛しているんですね。

自然のものって、人間が一切手を掛けなくても育つものもあります。
それが自然です。

でも、一生懸命手をかけ、愛情を注いで育てるものもあります。それが農作物です。

農作物は、人間を喜ばし、人間に幸せを与えるために存在する自然の恵みです。
だから人間が手を掛け、愛情を注ぐ必要があるのかもしれません。

矢野さんのバラを眺めながら、毎日2時間置きに夜中起きても大変な苦労をしているなんて全然思っていない矢野さんの愛情を感じてください。