ラジオは脳に効く
いま、どんどん便利な世の中になっています。なぜ、こんなに便利な世の中になったのかというと、
不便なことが多かったからではないかと思います。
不便なことを当たり前と思っていたら、
こんなに便利な世の中になっていなかったでしょうね。
タイプライターにデータが保存できない不便さを感じていたからワープロが生まれ、
ワープロに通信機能がないことに不便さを感じていたからパソコンが生まれました。
地図を片手に知らない道を運転することに不便さを感じていたからカーナビが生まれました。
先々週、「起きている問題を、問題だと気付かなければ問題にならない」という社説を書きましたが、同様に、「不便なことを不便だを感じなければ不便は解消されない」んだと思います。
人間には「不便だ」と感じる感性があって、
それを何とかしないという創意工夫する力がある。
近代史の発展は、この二つでなされてきたと言っても過言ではありません。
ということは、世の中には「不便」という現実があるのではなく、
目の前のことを当たり前だと思い続けている人と
「これは不便だ」「何とかならないか」と感じている人がいるということです。
これは感性の違い、即ち脳の違いだと思います。
「不便だ」「何とかならないか」と感じた感性は、
何とかしようとするわけです。
最初に感じる感性があって、次に「何とかならないか」と思考し、
次に「何としよう」と行動するわけです。
で、今日、お話したいのは、どんどん便利になることは脳にとっていいことなのか、ということです。
便利になることは二つの問題があります。
一つは体がどんどん楽をすることです。
典型的な例は、これはもう50年以上も前のことですが
エレベーターやエスカレーターによって階段を上り下りすることがなくなり、
車が普及することで歩かなくなりました。
これでは足腰が弱くなります。
そのことに気付いた人は、わざわざお金を払ってスポーツジムに通ったり、
だた歩くだけのウォーキングをやるようになりました。
もう一つは脳が考えなくなったということです。
カーナビがその典型でしょう。
人間の体は便利になればなるほど衰えています。
これは数値化できるので、分かりやすいです。
問題は脳の衰えです。
たとえば、友だちの電話番号を昔は結構覚えていましたが、今は誰一人覚えていません。覚える必要がなくなったからです。
スマホが、人間の脳の機能を代行しているからです。
脳機能が衰え出したことに、「これはマズイ」と感じて
「何とかしなければ」と危機感を感じて
「いい方法があります」と提案したのが脳トレです。
ただ、今ある脳トレの多くは学校の勉強の延長のようなものなのです。
勉強が好きな人はおもしろがってやるでしょうけど、
お勉強が好きではなかった人はあまりやらないかもしれません。
脳機能が衰えるということは次の二つが衰えるということです。
一つは想像力です。
問題を問題だと気付く力。
不便を不便だと感じる力。
相手の気持ちを思いやる力。
電車の中で化粧をする人は、この行動が周りの人に不快感を与えているということを感じていないのです。
授業中とか講演会とか入学式などで隣の人とおしゃべりする人は、そのことが周りに迷惑を掛けていることに気付いていないのです。
もう一つは創造力です。
不便だと感じたことを行動に駆り立てる力です。
で、僕が進める脳トレはラジオです。
便利になり過ぎると脳機能が衰えるといいましたが、
メディア的に言いますと、テレビがそうです。
一番脳によくないのは、テレビをつけっぱなしにして、ぼーっと見ることだそうです。
視覚情報を与えられる過ぎると、想像力が萎えてしまいます。
ラジオは音声だけなので、聞いた言葉を脳の中で映像化しようとします。
これは前頭前野を鍛えるには一番いいそうです。
体の機能は鍛えない限り衰えます。
脳機能も同じです。
想像力も鍛えないと衰えます。
相手の気持ちが分からない。
不快なことを不快だと感じないので、相手にも不快なことをしてします。
それで、脳の中でも人間が人間であるために他の動物と違う機能を持っているのが前頭前野です。
だからここが衰えると、動物と変わらない人間になってしまうし、
ここを鍛えることで人間がより人間らしくなっていきます。
前頭前野は、思いやり、道徳心、想像力、意欲、自制心などをつかさどっています。
ここを鍛える最強のメディアがラジオです。
ラジオのニュース、スポーツ観戦、ラジオドラマ、音楽など。
特に僕がお勧めなのがラジオで小説を朗読する番組です。
「鍛える」というと、楽をしたいという本能を逆行するので、
「楽しみながら脳を刺激する」と表現にしたいと思います。
NHKラジオの土曜日の朝8時5分からの「ラジオ文芸館」
月曜から金曜日まで毎日午後10時45分~午後11時の「青春アドベンチャー」というラジオドラマ。
これは若者向けです。
それからFMシアターとか、オーディオドラマとか、新日曜名作座とかいろいろあります。
これを聴くのがなぜ難しいのかというと、その時間にラジオの前にいないからです。
で、僕はどうしたかというと、タイマーで録音できるラジオを探して、それをネットで買って録音します。それをパソコンに取り込んで、それからウォークマンに入れ直してウォーキングしながら聴いています。
これがとても手間暇かかり、面倒なので、こういうことをやる人って僕しかいないだろうなと思っています。
みやちゅうのスタッフの皆さんは、それをCDに焼いたものを車を運転するとき、聴くことができます。楽ですね(笑)。
もし僕の秘蔵音声CDが欲しい方がいらっしゃったらプレゼントしますよ。
info@miya-chu.jpまでアクセスしてください