少年時代のトラウマその2
大人になって、しかも中年を過ぎてから何が恥ずかしいと言うと、字が汚いことほど恥ずかしいものはありまへんな。
結婚式の受付で記帳したり、ホテルのチェックインの際に名前と住所を書いたり、
お礼のハガキを書いたりするとき、自分の字を見ながらいつもため息が出ますな。
それにしても今の今まで努力してこなかったかと言うとそうでもありまへん。
学生にときにペン字のテキストを買ってきたり、30代のときも書道のカルチャーセンターに通ったりしたんですよ。でも、続かなかったから「今」があるんですわ。
忘れられないシーンがあります。
小学校1年のときの書き方の時間です。
佐々木公子(今でも忘れない)が「あ」とか「い」とか「う」とか言うんです。
子供たちは先生が言った文字を紙に書いていたんです。
で、途中、僕はある字を間違い、消しゴムで消して書き直していたら、
その間に回りがもう先に進んでいると思ったのです。
だから、周りに追いつこうと慌てて「た」とか「ち」とか「つ」とか勝手に書いたら、
それに先生が気付いて、僕を叱ったんですね。
「先生が言うてから書くんですよ」みたいに。
でもそれが優しい言い方ではなかった。
「先生が言うてから書きなさいって言うたやんか」みたいな。
実際はどうか覚えていませんが、自分としては頭を叩かれたみたいな感じで怒られたように記憶しているのです。
これがトラウマになっているのかな。
僕の潜在意識が、きれいに、ゆっくり字を書くということを拒否してしまったみたいな。
考え過ぎかもしれませんがね。
小学校1年生の授業を今でも覚えているのはあの書き方の時間だけですな。