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「全然分からなかった」という本に何冊出会えましたか?

文筆家・執行草舟さんの言うことは、まったくもって世の中のニーズとは逆である。
だから、執行さんは本物なんだと思う。

執行さんは小学生の頃にカントの『純粋理性批判』を読み、平泉澄の『少年日本史』を読み、鈴木大拙の『禅と日本文』『日本的霊性』を読み、山本常朝の『葉隠』を読んだ。

「全然分からなかった」と言っている。
「それがよかった」と言っている。
つまり、「分からなかったことがよかった」と言っているのだ。

心の中にたくさんの「答え」ではなく、「問い」を持つことができたからだ、と。

そもそも本がテレビやインターネットと同じ土俵で勝負すること時代、間違っている。
テレビやインターネットは「お気軽」に、「分かりやすく」、寝転んでいても「向こうからやってくる」ものだ。
しかし本は、「こちらから世の中に向かっていく」、そんなものなのだ、と。

今、出版社も書店も、世の中のニーズに合わせて、易しくて、簡単で、分かりやすいものに流れている。
だから苦戦しているのだ。

本は難しくなきゃいけない。
「難しいなぁ」と思って読む本がいい。
「全然分からなかった」という本と人生の中で何冊出会えるか、だ。

そんなことを執行さんは言う。

そういう人が本物を求めている、と。
そういう人が増えると日本は良くなる、と。
だから「本屋は国家を支える仕事なのだ」と。