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取材ノート 2672号(2016/11/21)
投げて、投げ返されて

編集部 増田翔子
 先日、一般財団法人日本そうじ協会の理事長である今村暁(いまむら・さとる)さんのお話を聞いてきました。

 途中でコミュニケーションの話になると、今村さんはたくさんのボールを出しました。よく「会話はキャッチボール」だといわれますが、実際にボールを使ってキャッチボールをするというのです。

 まず今村さんが「こんにちは」と下からゆっくりボールを投げます。それをキャッチした方は「こんにちは」と笑顔で投げ返します。

 するとそのボールを受け取った今村さん、途端に「何やってるの!」「何回言ったら分かるの?」「何か言いなさいよ!」と次から次に速いボールを投げたのです。

 もちろんそれらのボールをキャッチできるはずはなく、ボールは床に散乱してしまいました。相手の方は「びっくりして反応すらできなかった」と言われていました。

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 今村さんはこう問いかけます。「皆さんも日常の会話の中でこんなボールを投げていませんか?」

 そして「ではどのようなボールを投げればいいでしょうか?」と言われました。

 会場からは「キャッチしやすいところに投げる」「下からゆっくり投げる」「相手の気持ちになって投げる」などの意見が出ました。

 以前、今村さんはある講演で同じようにこのキャッチボールをやったことがありました。今村さんが思いっきり速いボールを投げると、それをキャッチした相手は激しく投げ返してきたそうです。

 つまり、こちらがどういうボールを投げるかで、相手から返ってくるボールが変わるということです。

 相手にやさしいボールを投げてほしいなら、まずはこちらからやさしくボールを投げることが大事なんですね。

◎          ◎


 「どんな犬も彼の手にかかればおとなしくなる」と有名なドッグトレーナーの森田誠さんという方がいます。

 人間とは違って、犬には言葉が通じません。だからこそ森田さんは、目で、心で、雰囲気で伝えるコミュニケーションを大切にしているそうです。

 私たちの会話の中で「ボール」の役目を果たすのは「言葉」ですが、そこに「心」や「雰囲気」をプラスすると、言葉を超えて伝わるものがあるのかもしれません。

 「コミュニケーション」という言葉は、日本語で「伝達する」と訳されることが多いです。しかし、その語源となった言葉は「分かち合うこと」「共有すること」という意味を持っています。

 伝えるだけではなく、相手から返答があって、思いを共有してはじめて「コミュニケーション」になるんですね。

 よりよいコミュニケーションのために、自分はどんなボールを投げればいいのか、いつも意識しようと思います。
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