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取材ノート 2687号(2017/03/20)
いざ、世界の頂へ

編集部 野中千尋
 先日、登山家・立花佳之さんの講演会を取材しました。

 立花さんは昨年5月に宮崎県民初の北陵ルート(チベット側)からのエベレスト登頂を成し遂げました。

◎          ◎


 ヒマラヤ山脈にある世界最高峰の山・エベレストは、その美しさとは裏腹にわずかな油断が命取りになる、とても過酷な山だといわれています。

 風速100メートルを超えることもある強風とマイナス30℃を下回る極寒の中、重い酸素ボンベを背負い、急な傾斜を少しずつ少しずつ、全身を使って登っていくのです。

 酸素も地上の3分の1しかありません。そんな極限状態が続き、思考もだんだん麻痺してきます。

 「頭が真空状態になる」と立花さんは表現していましたが、自分が今何をしているのか全く分からなくなり、意識が遠のくことさえあったそうです。

 無事に戻ることをゴールとする登山では、頂上も折り返し地点に過ぎません。それでも、山頂からの眺めは「自分より高いものが何もない」という絶景なのだそうです。

◎          ◎


 講演が終わった後、会場からたくさんの質問が飛び出しました。

 「トイレはどうしているんですか?」「登山中のものはすべて持って帰ります。すぐ凍っちゃうのでいいんですけど、重くて重くて(笑)」とユーモアを交えた回答をされる中、最後に出てきた質問は、私も一番聞いてみたかったことでした。

 「それほど大変な思いをしてまで、なぜ山に登るのですか?」

 「自分でも分かりませんが、これだけは言えます。長い時間をかけて準備をし、登頂して帰ってこられた時の喜びは本当に代えがたいものだからです」

 まるで昨日のことのように感情を込めて話される立花さんに、全く登山経験のない私もその達成感を推し量ることができました。

 登山前に遺書を書くほど、死と隣り合わせの挑戦であることを覚悟していた立花さん。それでも、「頂」という学生時代からの夢を追い続けることをやめなかったそうです。

 そんな魅力が山にはあるんだなと感じたお話でした。

◎          ◎


syuzainote2687.jpg
 後日、立花さんから一通のメールが送られてきました。

 「ヒマラヤの美しさを感じていただきたく、添付します」

 真っ青な空の下、眩しいほどに雪を被ったヒマラヤ山脈の雄大な景色が写真の中に広がっていました。
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2704号2017年07月24日発行

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