リップヴァンウィンクル
台風の日は家で映画を観るに尽きますね。黒木華主演の3時間という長編映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました。
めっちゃ面白かった。
前半は黒木華が演じる「七海」がどん底まで落ちていくストーリーです。
出会い系サイトで見つけた男性と結婚したのですが、
なぜか浮気の容疑を課せられて離婚させられます。
実は七海の家庭は崩壊していて、両親は離婚していて、
結婚式に来てくれるような親族もいません。
でも、離婚した両親は何とか式に参列してくれるのですが、
親族がいないので、数合わせができません。
それで七海は疑似家族、疑似親族を集めてくれる業者に頼んで、何とか数を揃えます。
その業者が綾野剛が演じる安室です。
これは七海も知らないのですあ、浮気の罪を着せられて離婚させられた背後に安室がいました。
しかし、不思議なことに安室は七海をずっと支えていくのです。
途中まで安室がいい人なのか、詐欺師なのか分かりません。
家を追い出され、行き場を失った七海に安室がバイトを紹介します。
他人の結婚式に参列する新郎の疑似家族になるバイトです。
七海は次女役です。
長女役は里中真白、これをシンガーソングライターのCoccoが演じてます。
これを機に2人は仲良しになり、
2人で大金持ちの豪邸のメイドのバイトを始めます。
この真白さんは別にAV女優という顔も持ってまして、
こっちでかなり稼いでいます。
後半は七海と真白さんの友情ストーリーなのですが、
後半からどんどん引き込まれていき、あっという間の3時間でした。
一番感動したのは2人がドレス屋さんでウエディングドレスを衝動買いして
お店からドレスを着たまま家に帰り、2人で踊るシーン。
そのBGMもよかった。
そして2人でベッドに横になった時、真白さんが語り出すんです。
これがぐっと来ました。
5分間、ノーカットで真白さんが自分の自己肯定感の低さを語るんです。
「この世界は幸せだらけだよ。みんな私によくしてくれる。
スーパーで買い物をする時さ、お店の人がさ、
私が買ったものをせっせと袋に入れてくれるんだよ。
私なんかのために、その手がせっせと動いてくれているんだよ。
それを見ているとさ、泣きたくなるのさ」
「私には幸せの限界があるの。もうこれ以上は無理!という限界。
その限界がそこらの誰よりも来るのが早いんだ。
簡単に幸せが手に入ったら私、壊れる・・・」と。
このシーン、切なくて切なくて4回も見てしまいました。
もう一つは、七海と安室が、真白さんの母親に会いに行ったシーン。
母親は娘がポルノ女優になったということで、親子の縁を切っていました。
いろいろ娘の悪態をついていく中で、
母親(シンガーソングライターのりりィが熱演)が
急に全裸になって、安室と七海がびっくりします。
「人前で裸になるなんて、なんて恥ずかしいことなんだ」と言って泣くんですね。
安室もそれを見て、泣きながら自分も全裸になるんですよ。
それを見て七海は飲めない焼酎を飲み始めるという、
何とも意味深長なシーンです。
このシーンもよかったです。
見どころ満載の映画でした。