バックナンバー
2023年 7月17日 2985号
人生に無駄なものはない
株式会社ヨネザワ代表取締役
米澤房朝さん
貧困と足の障がい~おかげで素晴らしい会社になった
私は昭和19年2月、戦時中に生まれました。生まれてすぐに小児まひになりまして、医者からは助かる見込みはないと言われたそうですが、母の必死の看病が実り、何とか命までは取られませんでした。ただ左足に障がいが残り、小学2年生まで松葉杖なしでは歩けませんでした。兵隊に取られていた父は、戦地で病気になって帰ってきました。しばらく働いていましたが、そのうち病に伏して、私が小学2年生の2月に亡くなりました。私には姉2人と弟1人がいます。父亡き後、4人の子どもを育てるために母は…【続きはこちらから】
社説
「つまらない」なんてどこにもないのに
魂の編集長 水谷もりひと
…文化と教育に関するフリーメディア「Open Culture」という英文サイトにはこんなことが書かれている。「世の中には英語に訳せない言葉がある。私の部屋の状態を完璧に言い表している日本語の『Tsundoku(つんどく)』もそうだ。これは『Karaoke(からおけ)』や『Tsunami(つなみ)』『Otaku(おたく)』と同様、英語に取り入れられる日本語だろう」「積読」を「うしろめたい状態」と思っている人もいるが、…【続きはこちらから】
2023年 7月10日 2984号
前向きな凸凹(でこぼこ)家族
コピーライター/沖縄国際大学産業総合研究所特別研究員
平岡禎之さん
わが家にいる火星人の話をしよう
わが家は、私を除く家族全員が発達障がいです。家族の間では、発達障がいの当事者のことを「発達凸凹(でこぼこ)」、あるいは「火星人」という表現をしています。最初に「発達障がいとは何か?」という「おさらい」をさせてもらいます。わが家では、発達障がいではない人、いわゆる定型発達の人を「地球人」と呼んでいます。そういった人たちは発達の仕方が標準で、いろんな分野の発達が平均的です。一方、発達に凸凹がある人…【続きはこちらから】
社説
ポジティブな思い込みで生きていこう
魂の編集長 水谷もりひと
…老衰で亡くなる人は、その昔、極めて少数だったが、2001年以降、死因ランキングをじわじわと上りはじめ、2018年、ついに「脳血管疾患」を抜いて3位になった。もし神様が「あなたはどれを選びますか?」と問い掛けてきたとしたら、あなたは何を選択するだろうか?「私はがんになったけど、がんでは死なないの」と宣言した女性の話が、作家・三浦綾子さんの『忘れえぬ言葉』(小学館)というエッセイ集の中にあった。戦時下の1940年代初頭、三浦さんは小学校の教師をしていた。戦後すぐに三浦さんは病気になり教職を辞したが、…【続きはこちらから】
2023年 7月3日 2983号
思いをつないで…
開化堂六代目
八木隆裕さん
150年商売を続ける中で見えてきたこと
「開化堂」は、日本で一番古い歴史をもつ、手づくり茶筒の老舗メーカーです。「開化」の名の通り、明治8年、文明開化の頃に京都で創業しました。私は開化堂の六代目です。明治時代の初めにイギリスから日本に入ってきたのが「ブリキ」です。当時ブリキは、「舶来物」としてファッショナブルな素材とされていました。「ブリキを素材にして、軽くておしゃれなお茶入れを作ったらどうか」ということで、…【続きはこちらから】
社説
人の名前が出てこないあなたに
魂の編集長 水谷もりひと
…医学博士・松原英多著『人の名前が出てこなくなったときに読む本』(KKロングセラーズ)と目が合った気がした。それは随分前から我が社の書棚にあった。いつどこで買ったのか記憶にない。書店で見つけた時、「いつかこの本が必要になる日が来るかもしれない」と思って買ったのだろうか。ずっと静かに眠っていたが、やっと日の目を見る、その時がやってきた。最近、「顔は覚えているのに名前が出てこない」という場面に遭遇することが多くなった。でも…【続きはこちらから】
2023年 6月26日 2982号
世界一への道しるべ
2023年 WBC侍ジャパンヘッドコーチ/一般財団法人日本プロスピーカー協会顧問
白井一幸さん
侍ジャパンが世界一に輝いた理由
今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンはなぜ無敗で世界一になり、多くの人に感動を与えることができたのか。これには明確な理由があります。それは、侍ジャパンが最高のチームをつくりあげることができたからです。最高のチームになるために何より大事なのは、チームの全員がチームの目標・目的を共有し自分事として捉えることです。侍ジャパンのメンバーは、…【続きはこちらから】
社説
「生姜焼きのお父さん」が伝説になった夜
中部支局長 山本孝弘
…過去に働いていた会社でこんなことがあった。その会社では経費削減のため、使用済みの紙の裏面を使用することが奨励されていた。ある日、上司に呼びつけられた私は烈火のごとく怒られ罵声を浴びた。何を怒られているのかさっぱり分からなかった私だが、上司が手にしている紙を見て合点がいった。机の上に提出しておいた紙の表面ではなく、何か月も前の報告書の下書きが書かれた裏面の内容を見て怒っていたのである。その旨を伝えればすぐに怒るのはやめてもらえるだろうが、…【続きはこちらから】
2023年 6月19日 2981号
旭山動物園の挑戦
旭山動物園 園長/獣医師/ボルネオ保全トラストジャパン理事
坂東元さん
なぜ世界一のアイデアが次々と浮かぶのか
…当時の旭山動物園は、かなり老朽化し、来園者も減る一方で、廃園の危機がささやかれていました。1万円の修繕費さえ出してもらえず、動物舎の建て替えもできませんでした。当時の飼育員は、私を入れて10人でした。園長の菅野浩(かんの・ひろし)さん、獣医で係長だった小菅正夫(こすげ・まさお)さんを中心に、月に一回の勉強会が開かれていました。毎回熱い議論が沸騰しました。全員が廃園への危機感を持っていました。その中で「自分たちができることは何だろう?」と話し合い、…【続きはこちらから】
社説
苦手な人には学びどころが満載
魂の編集長 水谷もりひと
…昨年、中学時代に大好きだった吉田拓郎さんの記事が、とある日刊紙に載っていて目を見張った。『青春の詩』を歌っていたあの「吉田拓郎」が76歳になっていた。「吉田拓郎」といえば、70年代、フォークソングの世界に一石を投じ、その流れを大きく変えたシンガーソングライターである。それまでのフォークソングは反体制の音楽だった。全共闘による日米安全保障条約反対、いわゆる「安保闘争」に明け暮れる若者たちが集会でよく歌っていたのがフォークソングだった。そんな時代に…【続きはこちらから】