バックナンバー
2023年 3月27日 2970号
痛くない死に方
長尾クリニック名誉院長
長尾和宏さん
尊厳を、最期まで
…「死ぬ直前まで抗がん剤治療を続けている」という方が結構いらっしゃいます。私たちの在宅医療を受けながら、抗がん剤を打つために大学病院に週に1回通い続けて亡くなった方も多いです。遺族の方に、「どうして亡くなる直前まで抗がん剤を打ちに行かれたのですか」と聞くと、「大学病院のお医者さんから『もう来なくていい』と言われなかったから」とおっしゃいます。大学病院の担当医にも同じ質問をしました。すると医師は…【続きはこちらから】
社説
悲しみの多さは優しさの切り札になる
中部支局長 山本孝弘
…卒業式で歌われる歌は『仰げば尊し』や『蛍の光』が長い間定番だったが、近年では卒業ソングと呼ばれるいろんな歌が卒業式で歌われるようになった。その走りとなったのは海援隊の『贈る言葉』ではないだろうか。歌の中にこんな歌詞がある。人は悲しみが多いほど人には優しくできる子どもの頃、私はこの部分を「つらいことがあると他人の痛みもわかるようになって思いやりの心を持つようになる」と解釈していた。間違いではないと思うが…【続きはこちらから】
2023年 3月20日 2969号
鉄道デザイン考
ドーンデザイン研究所 代表
水戸岡鋭治さん
だから日本には「美しい文化」が必要だく
今から18年前にデザインを手がけたのが、九州新幹線「つばめ」です。外観から内装まで、全てJR九州のオリジナルで作りました。九州のクスノキや九州で作られた金箔やイグサなど地域の素材を活かし、伝統や技術を込めながら、それでいてモダンなデザインを取り入れました。「伝統の美しさ」というのは…【続きはこちらから】
社説
ネット検索では見つからない問い
魂の編集長 水谷もりひと
…インターネットの百科事典「ウィキペディア」によると、クマムシの体長は1ミリ前後。4対8本のずんぐりした脚でゆっくり歩く。小さすぎてその実態は肉眼では見えないが、メスにはちゃんと卵巣があり、オスには精巣がある。呼吸器系や循環器系はないが、消化器系はあり、食べたものは口から胃、直腸を経て排泄される。虫ではなく「動物」らしい。さて、驚嘆した特徴とはいったい何かというと、…【続きはこちらから】
2023年 3月13日 2968号
落語に学ぶ
落語家
立川談慶さん
ストレス社会には落語が効く
落語の世界もコロナの影響で八割方、仕事がなくなってしまいましたが、最近じわじわと復活してきました。おかげさまで忙しくなってきまして、この後、すぐ東京に帰らなくちゃいけないわけです。明日は朝からNHKの取材、その後テレビ朝日、それから雑誌のインタビューという、目の回るようなスケジュールをこなす芸人に1日も早くなりたいなと思う今日この頃です。今日の演題は「落語に学ぶビジネスと生き方」です。落語から…【続きはこちらから】
社説
悲しみの発露としての怒り
魂の編集長 水谷もりひと
…偶然読んだ知人のSNS投稿に目が釘付けになった。茨城県在住の川井秀樹さん(43)は、その日、とにかく忙しかった。結局、仕事は終わらず翌日に持ち越しになって帰宅する途中、コンビニに立ち寄った。駐車場から店内の異様な様子が見えた。レジと客とを遮るビニールシートの中に頭を突っ込んで店員に詰め寄る高齢の女性の姿。入店すると、その客はアルバイトと思われる高校生くらいの女性店員を激しく怒鳴りつけていた。その横で…【続きはこちらから】
2023年 3月6日 2967号
家事会議を開こう!
東京大学教授
瀬地山角さん
もう「大黒柱の時代」ではありません
…専業主婦世帯が主流だったのは、すでに昔の話です。意識の上でもそうで、18歳から34歳の独身女性に結婚相手の条件として求めるものを聞いたアンケートでは、「人柄」を除くと、トップは「家事・育児の能力」でした。東大の講義でこの結果を発表すると衝撃が走ります。男子学生に「お前らの学歴なんて、たいして役に立たないんや!」と言うと、彼らは結構ショックを受けて…【続きはこちらから】
社説
自分らしさと死に物狂いの努力
魂の編集長 水谷もりひと
先日、沖縄県在住の俳画家・木村浩子さん(86)と会った。彼女のことは著書『おきなわ土の宿物語』で知った。山口県で障がい者と健常者の出会いの場「民宿・土の宿」を営んでいた木村さんが、沖縄の人との交流を通して、島の人の優しさと土地の持つ過酷な歴史に心惹かれ、「ここにも土の宿をつくりたい」と思ったのは40年ほど前のことである。1983年、沖縄・伊江島の人とのご縁で、木村さんは、当時小学6年生だった娘と伊江島に移り住んだ。翌年、…【続きはこちらから】
2023年 2月27日 2966号
ブルーインパルスへの道 ~チームワークの大切さ~
航空自衛隊元ブルーインパルス隊長/1等空佐
稻留仁さん
ブルーインパルスの伝統は「一子相伝」
…ブルーインパルスの伝統と技の継承について紹介します。ブルーインパルスのパイロットの任期は3年です。1年目は「技の修得」、2年目は「展示飛行」、3年目は「展示飛行と教育」というスケジュールになっています。教え方については「一子相伝(いっしそうでん)」であります。一子相伝というのは、我が子だけに教えてほかには漏らさないということです。例えば、4番機のパイロットは…【続きはこちらから】
社説
「情」に逆らうことで生まれた本当の強さ
中部支局長 山本 孝弘
…決して「情」に流されてはいけない業務や職業もある。スポーツの審判はまさにその一つだ。今年ももうすぐ春のセンバツ高校野球が始まるが、今でも忘れられない四半世紀前の夏の甲子園で起きた出来事がある。サヨナラボークで試合が決着したのだ。史上初の結末だった。ボークとは投手の違反動作である。ボークは…【続きはこちらから】