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取材ノート 2691号(2017/04/17)
さくら、さくら

編集部 野中千尋
 桜の季節になりました。今年の宮崎は少し遅咲きでしたが、あちこちで開花を喜ぶ人たちを見かけます。

 桜は、日本人に最も愛されている花といっても過言ではありません。満開の木の下に立つと、まるで桜に包まれているように感じられますよね。

◎          ◎


 2013年に本紙に掲載した京都府視覚障害者協会副会長・松永信也さんも、桜に関するお話をされています。

 「私はピンク色が好きなんや」と話す生まれつき目の見えない女性に、松永さんは「ピンクってどんな色やと思うてんの?」と尋ねました。

 すると、その女性は「桜の花の色やろ?」と言ってふふっと笑ったのです。

 「私な、春になったら毎年花見に行くねん。行って桜の花を触らせてもらうねん。そしたらいつも幸せな気持ちになんねん。『これがピンクやな』って思ったら、幸せな気持ちになんねん」と。

 この言葉が印象的で、私は桜が咲くとこのお話を思い出すようになりました。

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 桜にまつわる話題をもう一つ。

 茨城県土浦市にある真鍋小学校には、地域でも有名な桜の木があります。

 学校の敷地内に桜の木があるのは珍しくありませんが、この小学校は校庭のど真ん中に桜の巨木が5本、どっしりとそびえているのです。

 明治40年に植えられたもので、それぞれ樹齢100年を超える老木でありながら毎年枝いっぱいの花を咲かせているそうです。戦火を乗り越え、たくさんの子どもの成長を見守ってきたその佇まいからは、すべてを包み込んでくれそうな優しさが感じられます。

 親しみを込めて「もうひとりの校長先生」とも呼ばれ、卒業後も病気の回復や結婚報告などの「桜へのメッセージ」を寄せる人が多いそうです。

 そんな真鍋小学校では、入学式の翌日に「お花見集会」と呼ばれる新入生歓迎イベントが開かれます。1981年から行われている伝統的な行事で、調べてみるととてもほほえましい内容でした。

 全校児童で桜を囲み、新6年生が新1年生をおんぶして桜の周囲を回りながら、この木の歴史を話して聞かせるというものです。

 おんぶされた1年生はこれから桜と共に過ごす学校生活に、おんぶする6年生はこれまで桜と共に過ごしてきた時間に思いを馳せます。

 その1年生も、いずれ最上級生として同じ木の下で新入生をおんぶする日がやってきます。「歴史を受け継ぐ」という言葉がぴったりの催しだと思いました。

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 お花見・入園式・入学式…、桜の下に集まる人たちは誰もが笑顔です。嬉しそうな、楽しそうな、そんな様子を見かけるたび、「ああ、春だな」と思うこの頃です。
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2711号2017年09月18日発行

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