ラーメン道邁進中! 2659号(2016/08/08)
その4(終) 50周年のとき、300杯のラーメンを大切な方々に
力の源カンパニー ファウンダー/「博多一風堂」創業者 河原成美
商売を36年やってきて、いろんなことを学ばせてもらっています。今、自分の仕事が成功したとは全く思っていません。死ぬまで、100歳まで働こうと思っています。今年、一風堂は創業30年を迎えました。5年前は「30周年のときはパーティを開こう。500人、いや1000人呼ぼう」などと考えていました。
でも実際に迎えると、そんなことは考えられなくなりました。「まだまだ、たかが30年。お祝いしてもらえるようなときじゃないぞ」と考えたからです。
だから「50周年をやろう」と決めました。その時、僕は83歳になっていますが、前日から300杯のとんこつラーメンを作るつもりです。それを人生で出会った大切な方々にお出ししたいと思っています。
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前回、中川一政先生が書かれた「正念場」という書が好きだというお話をしました。
「正念場」と同じような意味で「覚悟」という言葉もよく使われます。
僕は「正念場」も「覚悟」もそんなにきばって考えなくてもいいと思うのです。もっと自然に肩の力を抜いて「よし今だ」って思うくらいで十分。「今」を一生懸命生きることが大事だと思っています。
とにかく人生は挑戦です。人生は、「生まれる」「生きる」「死ぬ」という、本当にシンプルなものです。
でもその中にも自分の役割というものがある。役割が何なのか分からないし、自分が大きい光を発するのか、小さい光を発するのかも分かりません。
しかし、大きさに関係なく「光ること」が大切なのです。自分のエネルギーを発光していけば、それが「人生」になるのです。そして周りの人にプラスの影響を与えることができれば何よりですね。
人はみんな強くありません。弱いからこそ努力できるし、一生懸命生きることができるのです。そんなことを商売を通してお伝えしていきたいと思っています。
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それからもう一つ思うのは、長く商売ができてよかったということです。
継続ということでいうと、2002年から小学校でワークショップを続けています。
最初に申し上げた通り、僕は男4人兄弟の末っ子で、いつもお袋の手伝いをしていました。
小学5年生の時、家庭科の授業でご飯とみそ汁と玉子焼きをつくる実習がありました。
僕はいつも手伝いをしていたので、ご飯を炊くのもみそ汁や玉子焼きをつくるのも得意でした。
すると、それを見た先生が褒めてくれたんです。「人に褒められることはこんなに嬉しいんだ」と子どもながらに思いました。
だから、今小学5年生にラーメンと餃子づくりのワークショップをしているのです。
多感な子どもたちに料理の楽しさを知ってほしくて始めたことが、今では340校にまで広がりました。「目指すは1000校」の気持ちでこれからも続けていきます。
ラーメンで大事なのは豚ガラと鶏ガラ、これがスープの基本です。
しかし何よりもそれを支えるのは「人柄(ガラ)」である、ということでラーメンづくりでいろんな発見ができてとてもおもしろい人生です。
(福岡で開催されたジョイント講演会より/村岡史章・九州特派員取材~終わり)