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取材ノート 2695号(2017/05/22)
母に懺悔の炒飯の思い出

中部特派員 山本孝弘
 昨年末から今年の3月にかけて、BSフジでドラマ『北の国から』を再放送していました。

 連続ドラマとして始まった1981年から2002年のスペシャル版まで、長期に渡って放送された名作です。主人公の黒板五郎が東京で離婚し、小学生の子ども2人を連れて生まれ故郷の北海道に帰るところから物語が始まります。

 今観ても古く感じないどころか、時代が進むほど投げかけてくるテーマに説得力が増してきます。雄大な北海道の自然と共に心に迫るものがあって、何度観ても涙が滝のように流れます。

 私にも五郎と同じように上が男の子、下が女の子の2人の子どもがいます。上の子は小学4年ですが、少しずつ大人へと変わっているのがわかります。これからきっと五郎と同じような悩みにぶち当たり、ますます感情移入するドラマになりそうです。

◎          ◎


 中学生の時を思い返してみると、私もどこか浮付いた不安定な心理状態だったような気がします。

 30歳の時、東京から帰った私は一時期実家に住んでいました。ある日、母が作ってくれた炒飯を食べている時に、急に母がこんなことを言いました。

 「今でも炒飯を作る時は必ずあのことを思い出すんだよ。昔は思い出す度にびくっとなったけど、今では微笑ましいね」

 何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。

 母の話によると、私が中学2年の時の出来事だそうです。昼に母が作った炒飯を私が一口食べた時、「こんな辛い炒飯が食えるか! 殺す気か!」と怒鳴り、自分の部屋に行ってしまったとのことです。

 それを聞いて、最初は兄の間違いではないかと思いました。ですが母は、「間違いなくおまえだった」と言い、優しい子だったのでとてもショックだったと笑いました。

 もしタイムマシンがあれば過去に飛んで行って、当時の私の頭を2、3発引っ叩いてやりたい思いです。

◎          ◎


 『北の国から』で19歳になった五郎の娘が言う台詞に印象的なものがあります。

 「お兄ちゃん、私たちって勝手よね。あんなにもあの頃、父さんの愛情を独占しなければ気がすまなかったのに、今は全く逆のことしてる。平気でよそに愛を向けてる」

 子どもは自然と親から離れていきます。淋しさはあっても、それを「成長」と呼ぶのかも知れません。これから思春期を迎える我が子を、今度は私がしっかりと受け止めようと思います。

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 拝啓、母上様。炒飯の件は誠に申し訳ありませんでした。そんなことは全く覚えていないわけで。でもそれは、やはり兄貴ではないかと思われ…。

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