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取材ノート 2717号(2017/11/06)
かわいい子には旅をさせよう

編集部 野中千尋
 10月に石川県で開催された「みやちゅうを読む会」にお邪魔しました。会の後、主催の谷川典生さん、参加者の大江洋造さんに名所をご案内いただき、少しだけ旅行気分も味わうことができました。

 世間も秋の行楽シーズンの真っ只中ですが、ちょっとユニークな旅行会社があることをご存知でしょうか?

◎          ◎


 株式会社ウナギトラベルは、代表の東園絵(あずま・そのえ)さんが2010年に始めた東京にある旅行会社です。ただし、旅行するのは人ではなく、なんとぬいぐるみ。ぬいぐるみ専門の旅行会社なのです。

 たとえば東京ツアー(身長約20㌢までのお客様向け)なら、東さんが持ち主から送られてきたぬいぐるみたちと一緒に浅草寺を訪れ、名物のもんじゃ焼きを食べ、東京タワーの夜景を堪能します。

 旅の様子は逐一写真に収められ、旅を満喫したぬいぐるみはその写真をお土産に持ち主の元へ「帰宅」するのです。

 ここで撮られた写真こそがツアーのミソ。旅先でただぬいぐるみを並べただけ、というものではありません。

 東さんは、持ち主から聞いたぬいぐるみの性格や背景をもとに旅のストーリーを組み立て、本当に生きているように旅を楽しむ姿を撮影するのです。

 持ち主の思いを汲み取り、どうしたら喜んでもらえるかを考える姿勢や、そこから生まれる楽しい演出がこのツアーの大きな魅力となっています。

 ツアーに申し込む人にとって、ぬいぐるみは単なる「モノ」ではありません。

 ある人にとっては小さい頃から一緒だった親友。またある人にとっては亡くなった大切な人の代わりということも。

 ある時、車いすで暮らす人からこんなお申し込みがあったそうです。

 「自分の分身が自由に歩き、自分の足で階段を上り、仲間と対等に食卓を囲んでいる。そんな姿を見たい」と。

 ツアー後、のびのびと楽しそうに旅するぬいぐるみの写真を送ると、すぐに感謝の手紙が届きました。「私も早く元気になって、同じ場所を旅したい」。

 「自分が行けない所にぬいぐるみが行き、できないことをやる。すると関心が広がり、心も癒やされる。そしていずれ自分も行ってみたいと思う…。そんな流れをつくりたい」と東さんは言います。

 『お客様はぬいぐるみ』(飛鳥新社)という本には、ぬいぐるみに託された4つの旅の物語が綴られています。読書の秋におすすめですよ。

◎          ◎


 話は少し戻りますが、実は私も石川県へ行くにあたり、旅行かばんの中に小さなクマのぬいぐるみをこっそり同行させていたんです。私と一緒に宿泊先のホテルを訪れ、銘菓・きんつばの写真を眺め、ビジネスホテルの夜景を堪能するという格安ツアーでしたが、もしかしたら楽しんでいたのかもしれませんね。
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