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取材ノート 2720号(2017/11/27)
芸術は自由だ!

編集部 増田翔子
 先日、東京画廊の代表を務める山本豊津(やまもと・ほづ)さんのお話を聞いてきました。

 お話を伺うにあたり、「自分にアート(芸術)が理解できるだろうか…」という不安もありました。しかし気がつくとアートの世界に引き込まれ、興味深くお話を聞くことができました。

◎          ◎


 講演で紹介された作品の中で、特に印象的だったものが二つありました。

 一つが斎藤義重(さいとう・よししげ)の『作品7』です。遠くから見ると、鮮やかな赤を背景に点や線が描かれている絵画に見えました。しかし実際には、ドリルで板に傷をつけ、着色しているのだそうです。

 一般的に、作品とは0から少しずつ作り上げていくことで完成すると考えられてきました。だからこそ「傷」は「壊れている」というイメージにしかならなかったのです。

 わざわざ傷のついたものを「完成」としたことが、この作品が評価された大きな要因だといいます。

~ ~ ~ ~


 印象的だったもう一つの作品は、榎倉康二(えのくら・こうじ)の『場』です。これは床にワラ半紙を並べて、左側から油を染み込ませた作品なのだそうです。

 「それがなぜ評価されているの?」と思われる方もいるでしょう。ところがここには、「日本人独特の世界観」が現れているというのです。

 左側からじわじわと染み込んだ油はいずれ止まります。では、そのラインは誰が決めたのでしょうか?

 これは半紙と油の性質が決定したのです。その時の温度や湿度も関わっていたと思います。

 海外では、計画した通りに作業を進め、自らの意志を作品に込めるのが「普通」とされていました。ですから、最後の決定権を自然に委ねたことがすごいことだったのです。

 書道でも、昔から日本人は「にじみ」を美しいと思ってきました。これも書いた後の仕上げを「自然」に任せています。

◎          ◎


 講演の中では、他にもたくさんの作品が紹介されました。自らのコスプレを撮影した写真、180個の電飾で作られた服、ロープにつかまって足ですべりながら描かれた絵画、巨大な石を和紙で包んだもの、など…。

 一つひとつの説明を聞きながら、「何を『アート』とするかは自由なんだ」と感じました。

 巧みな技術で作られた作品だけでなく、子どもの落書きを「アート」と見なすことだってできるのです。そう考えればアートは決して難しいものではなく、どんな人でもその存在を感じられると思いました。

 季節はもう冬ですが、気持ちはまだまだ「芸術の秋」のつもりで、身の回りのアートを見つけてみます。
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