ホーム記事一覧取材ノート

取材ノート 2729号(2018/02/12)
意味づけひとつで

編集部 増田翔子
 先週号の社説は「なぜ積読(つんどく)になるのか」という話でした。

 何を隠そう、実は私もその「積読」の常習犯です。「本を買うこと」に満足してしまうのか、買ったのに読んでいない本が山積みになっています。

 そんな私でも、繰り返し読んで納得し直す本がたくさんあります。

 たとえばベストセラー『嫌われる勇気』、漫画化もされて話題になっている『君たちはどう生きるか』など。

 先日お話を聴いた榎本英剛(えのもと・ひでたけ)さんの著書『本当の仕事』もその1冊です。

◎          ◎


 「仕事」というタイトルではありますが、人生観や生き方について考えさせられるお話が満載です。

 特に印象的だったのは、双子の姉妹の話です。父親は浮気が原因で2人がまだ幼い時に家を出ていきました。残された母親は毎日のように酒に浸り、ついには子育てもできない状態になってしまいます。

 そんな双子のうち1人は次第に非行を繰り返すようになり、麻薬にも手を出して刑務所を出たり入ったり。

 もう1人は必死の勉強の末に弁護士試験に合格し、同僚と結婚して幸せな人生を送りました。

 同じ環境で育った双子なのに、なぜこのような正反対の人生になったのか。2人別々に「あなたはどうして今のような人生を送ることになったと思いますか?」とインタビューしてみると、全く同じ答えが返ってきました。

 「そりゃ、あのような家庭で育てば誰だってこうなりますよ」と。

 「あんな家庭で育ったのだから自分が荒れるのも当然」と思ったのか、それとも「あんな家庭で育ったからこそ自分は幸せになって当然」と思ったのか。

 同じ境遇に対しての意味づけが正反対だっただけで、2人の人生は大きく変わってしまったのです。

◎          ◎


 「人生が変わる」とまではいかなくても、日常の些細なことでも意味づけひとつが大事かもしれません。

 エスカレーターが壊れていた時に「よし、階段で行けばダイエットになるかも!」と思ったり、夜ご飯の味が薄い時に「俺の体を気遣ってくれるなんて優しいな」と思ったり…。

 そんなふうに考えられたら、きっと毎日楽しく過ごせそうな気がします。

◎          ◎


 さて「積読」を前向きに意味づけるなら、「積まれた本の数だけの好奇心が自分にある」と考えられます。「おもしろそう!」と思う度、すぐ本を買っていた過去の私に感謝です。

 1冊1冊、その時々に抱いていた好奇心があったはず。それを思い出せば、本たちを「積読」から救ってあげられるかもと思いました。
お友達紹介
カレンダー
<前月  2018年02月  翌月>
 
 
 
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
 
 
 
ブログ
  • 水谷もりひとブログ
  • くるみノート
  • とね書
  • スタッフブログ