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取材ノート 2733号(2018/03/12)
つながって増えていく

編集部 増田翔子
 昨年末、『Re:S(りす)』という雑誌の編集長をされていた藤本智士(ふじもと・さとし)さんのお話を伺いました。

 全国を回り、地域の魅力を伝えてきた藤本さん。秋田県で出会ったのは「何でも寒天に固める文化」でした。

 お母さん方に話を伺うと、どの方も口をそろえてこう言うのです。「寒天に使うのは、やっぱり棒寒天(角寒天)じゃないとダメなのよ」と。

 その言葉を聞いた藤本さんは、棒寒天の生産地である長野県へと足を運びました。

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 寒天の販売元である会社に行き、秋田のお母さん方のことを伝えるとこう言われました。

 「実は寒天には、化学的に大量生産される『粉寒天』と昔ながらのやり方で作る『棒寒天』があります」

 「棒寒天はテングサを煮たものを数日間屋外に並べ、凍結と乾燥を繰り返してできます。その間、生産者さんたちは極寒の中で作業をするんです」

 「その姿を見ると、やっぱり棒寒天を皆さんに食べてほしい。でも売れるのは安くで買える粉寒天ばかり。遠く離れた秋田で棒寒天を使ってくれている方々がいたなんて、感無量です」

 数日後、藤本さんはその会社の社員さんを連れて再び秋田へ向かいました。お母さん方と会った社員さんは、涙ながらにお礼を言われたそうです。

 この瞬間、その場にいた人たちはきっとお互いに秋田と長野のことが好きになったと思います。

◎          ◎


 ここ数年、地域の過疎化対策として「移住」「定住」という言葉をよく耳にします。ところが藤本さんはこのようなことを言われていました。

 「もし東京から1人移住してもらったら、それは同時に東京の住民を1人奪ったことになります。本当に必要なのは『移住』ではなく『関係人口』を増やすことなんですよ」と。

 たとえばその県の出身だったり、旅行に行ったりした人たちは、今は住んでいなくてもその場所と「関係」を持っていることになります。この人たちを「人口」とみなすのが「関係人口」の考え方です。

 この人口は移住しなくても増やすことができ、どこかの地域にマイナスをもたらすこともありません。

 自分たちの地域に関心を持った人たちは、その地域を後押ししてくれる存在になるでしょう。そんな存在が増えるのは心強いものです。

 「棒寒天」が秋田と長野を引き合わせたように、「みやざき中央新聞」もそんなつながりを作りたいと思います。

 県外にお住まいの皆さん、ぜひ宮崎の「関係人口」として宮崎に関心を持っていただけたら嬉しいです。
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