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取材ノート 2754号(2018/08/20)
祖父の思い出とともに

編集部 村中愛
 今年の4月から編集部のスタッフとなりました、村中愛と申します。

 私が入社して初めて手がけた記事は、6月25日号から3回にわたり掲載された橋本五郎さんのお話でした。

 通常一つの記事にかける編集時間は3週間ほどですが、初めての編集はなかなか思うように進まず、約2か月もの時間を費やしてしまいました。そしてようやく編集を終えた日の夜、私の父方の祖父が82歳で亡くなりました。

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 祖父は専業農家として、私の父とともにお米や大根などを作っていました。仕事が大好きだった祖父が、よくあぜ道に佇んで田んぼを眺めていた姿を覚えています。

 口数の少ない祖父でしたが、11人の孫を分け隔てなく可愛がってくれ、入学式や卒業式、田植えや稲刈り、お正月など、行事のたびに親戚を集めて食事をすることが好きな、家族思いの人でした。

 ところが3年前に2度の脳梗塞を起こし、肺炎に罹って食事を口から摂ることができなくなった昨年からは、介護施設での生活でした。

 そして、6月4日に祖父は亡くなりました。その2日前には親戚が集まって伯母の還暦を祝い、6月9日には弟の結納が予定されていて、本来は慶事が続くはずでした。

 お祝いの日に重ならないタイミングで亡くなったことは、昔から私たちのことを何より気にかけていた、祖父の最後の優しさだったように思えてなりません。

 私は、通勤で祖父が入所している施設の前の道路を通っていました。

 祖父が亡くなるまでの2か月間、そこを通る時には「行ってきます」「ただいま」と心の中であいさつをすることが日課になっていました。ときには新しい環境での緊張や不安を話すこともありました。そのため、亡くなった後はその道を通るたびに祖父のことを思い出し涙が溢れました。

 そんなことがしばらく続いたある時、ふと橋本五郎さんの「私にとっておふくろはお天道様です。どこにいても、何をしていてもおふくろから見られていると思うと、恥ずかしいことはできません」という言葉を思い出しました。

 それは、まるで橋本さんが私に向けて語りかけてくれているように感じられて、「私も祖父に恥ずかしくない生き方をしていこう」と、少しずつ前向きに考えられるようになりました。そんな橋本さんの記事は、祖父の思い出とともに心に残る大切なものになりました。

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 入社して4か月が経ち、職場のスタッフや読者の皆さん、取材でお会いした方々などたくさんの出会いがありました。これから一つひとつの出会いを大切にしながら、皆さんが日常の中で感じる喜びや悲しみに、そっと寄り添えるような新聞を作っていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(編集部/村中 愛)
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