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取材ノート 2761号(2018/10/08)
むかしむかしのはなし

編集部 野中千尋
 9月24日号から、コラムニストでラジオパーソナリティでもあるジェーン・スーさんの連載が始まっています。

 お話の中で、「親の話は親が元気なうちに聴いておいたほうがいい」と言うジェーンさん。それは早くに亡くなったお母さんの「親」という役割以外の話を、お母さん本人からほとんど聞けなかったことを悔やんでの言葉でした。

 そして「このうえ父の人生を聞いておかなければ一生後悔する」、そう思って書き上げたのが新刊『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)だったのです。

 来週号まで、そんなジェーンさんとお父さんの話をお届けします。どうぞお楽しみに。

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 さて、先月17日が「敬老の日」だったこともあり、私は祖父母の家に顔を出しました。他愛のない話をしていた時にふと、「祖父母が結婚する前の話って聞いていなかったな」と思いました。

 学校教師だった祖父と看護師の祖母、どこにきっかけがあったのだろう、と。

 台所で佃煮を作っていた祖母にそれとなく聞いてみると、開口一番「あの時は28歳でね、もう一人で自由に生きていこうって思ってたんだけどねぇ」。そしてこんなエピソードを話してくれました。

 ある日、祖母が病院で仕事をしていると、一人のご婦人が窓からずっと祖母を見ていたそうです。

 「患者さんの家族かな?」と思い、その時は祖母も特に気に留めませんでした。しかし後になって、それがなんと祖父の母、つまり私の曾祖母だと分かったからびっくり。

 当時は昭和38年。祖父は仕事一筋で毛ほども結婚するそぶりを見せなかったといいます。それを見かねた祖父の妹さんが、「このままじゃ本当にあんちゃんは結婚しない」と看護師の先輩である祖母を紹介し、曾祖母が将来のお嫁さんをこっそり見に来ていたということでした。

 小さい時に母親を亡くし、寮生活で家庭のこととは縁遠かった祖母でしたが、結婚後、曾祖母は本当のお母さんのようにいろんなことを教えてくれたといいます。「むかしむかしのお話です」と祖母。

 その後も祖父母からいろいろな話を聞きました。80数年積み重ねてきたものがあるからか、話の種はなかなか尽きず、どれも面白いものでした。

 驚いたのは、二人とも話すほどにどんどん饒舌になっていったこと、そして私が今まで知っていたのはやはり「祖父母」としての顔の部分がほとんどだったということでした。

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 ジェーンさんの記事は私自身そのことに気付かされたお話でしたし、読んでくださった方に「私も話しておこう」「私も聴いてみようかな」と思っていただけたらいいなという気持ちで編集しています。秋の夜長に昔ばなし、いかがでしょうか。

(編集部/野中千尋)
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