ホーム記事一覧取材ノート

取材ノート 2783号(2019/04/01)
サヨナラの代わりに

中部特派員 山本孝弘
 今週号は4月1日号です。エイプリルフールなので、嘘を並べた取材ノートを書こうかと思いましたが、やめました。

 先日、『北の国から’95秘密』を観ました。その中で、主人公の娘である看護師の蛍(中嶋朋子)がこんな台詞を言います。

 「先生が言ったわ。嘘は、ある時は幸せを保つ人類最大の発明であるって…」。言い得て妙です。



 その蛍は、『北の国から 第17話』で自分に嘘をつきました。子どもの頃の話です。

 富良野で父と暮らす子ども達の元へ、東京から母・令子(いしだあゆみ)が訪ねてきました。父・五郎(田中邦衛)と正式に離婚する前に会いにきたのです。

 兄の純(吉岡秀隆)は無邪気に母親に甘えます。ですが離婚の理由が母の浮気であることを知っている妹の蛍は、ずっと素っ気ない態度をとり続けました。そんな中、ラベンダー畑に行った時、令子に同行していた弁護士の女性がこう言いました。

 「今日はホテルに泊まらない? お母さんと一緒に3人で寝れば?」

 しかし蛍は首を振って駆けて行きました。純は蛍と二人になった時、蛍を激しく罵ります。「蛍、おまえは冷血動物だ!」と。

 次の日、五郎と純が令子を見送りに行く支度をしている時、蛍は「気分が悪い」と言って寝ていました。仮病であることは明らかでした。

 「一人で寝てなさい。後で病院行くんだぞ!」、五郎はそう蛍に言い、純を連れて令子のホテルに向かいます。最後の墓参りをした後、富良野駅に着いた令子は純の手を握り、「しっかり頼んだわよ、蛍のこと」。そう言って電車に乗りました。



 本当は久しぶりに会った母親に甘えたかった、まだ幼い蛍。ずっと自分の気持ちに嘘をついていました。でも、やはりそれには限界があります。

 令子が乗った電車はゆっくりと走り出しました。向かいに座る弁護士が何やら話し掛けますが、彼女は上の空でした。

 しかし、車窓から外を眺めていた令子の様子が一変します。遠くの土手に蛍を見つけたのです。慌てて窓を開け、身を乗り出して手を振りながら、「ほたる~!」と何度も叫ぶ母・令子。

 蛍はそれには答えず、手を振り返すでもなく、ただただ泣きながら電車を追ってどこまでもどこまでも走りました。

 『北の国から』のファンなら名シーンベスト10に必ず入れる場面です。



 イギリスでは、人を騙すための嘘を「黒い嘘」、逆に喜ばせるための嘘を「白い嘘」というそうです。

 私も今まで、一体どれだけの嘘をついてきたでしょう。とても数え切れませんが、できればこれからは「白い嘘」だけにしたいものです。そして自分に対しては「白い嘘」も「黒い嘘」もつかないように生きていきたいと思います。

(中部特派員/山本孝弘)
お友達紹介
カレンダー
<前月  2019年04月  翌月>
 
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
 
 
 
 
ブログ
  • 水谷もりひとブログ
  • くるみノート
  • とね書
  • スタッフブログ