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転載・過去・未来 2745号(2018/06/11)
その77 「子ほめ条例」の挑戦~子どもをほめるまちづくり~

大分県前津江村教育長(当時) 花田紀子
 前津江(まえつえ)村は、ワールドカップの時、カメルーンの選手のキャンプ地で有名になった大分県中津江村の隣の村です。人口は1600人。小学校が5校あり生徒数は全部で98人、中学校は1校で48人です。

 この村にできたのが「子ほめ条例」です。教育委員会が聖徳大学の福留強先生の著書『地域で子供をほめよう。子ほめ条例の町の事例に学ぶ』という本を見つけてきたのがきっかけでした。

 平成12年という年を皆さん、覚えていますか。「17歳の暴走」という言葉が生まれた年です。

 5月に佐賀県でバスジャック事件、山口の高校生が母親を金属バットで殴った事件、そして決定的だったのは大分県野津町で起きた高校生による一家6人殺傷事件でした。

 野津町はとても平和な町です。その子もごく普通の生徒でした。そんな平和な町で事件が起きた。「じゃあ、前津江村の子どもたちは大丈夫なのか?」となったのです。

 青少年問題は、事が起きてからでは対応が大変です。だから「子どもたちが悪い道に走る前に『子ほめ条例』を制定し、村中で子どもたちを見守る意識を持とう」となりました。

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 条例の中身は、「奉仕賞・健康賞・親切賞・学芸賞・体育(スポーツ)賞・努力賞・想像賞・勤労賞・読書賞・友情賞・明朗賞」です。

 その他特別賞として「家族賞」「仲良し賞」「情報賞」もあります。

 表彰の基準は、地域の人からの推薦です。「小学1年生の孫が夕食を作ってくれた。しかもできそこないを自分が食べ、良くできたほうを自分たちにくれた」などの推薦を受け、表彰されます。

 表彰式は、村長が各学校に行って全校集会で行います。村長手作りの表彰状を読み上げ、金メダルを首にかけます。中学生でもとても素直に喜びます。

 表彰式の翌朝には子どもが推薦した人のところにお礼を言いに行きます。そのことでより一層、地域の大人の関心が子どもたちに向けられていくのです。

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 「家族賞」をもらった小学4年生の女の子の感想文です。

 「お父さんとお母さんに『家族賞をもらったよ』と言ったらお父さんが『あんたのが一番価値ある賞だ』と言った」

 この子は、お父さんから「あんたのが一番価値がある」と言われたことで、喜びが何倍にも膨れ上がったんですね。こういう時の親の言葉の大切さを感じますね。

 「学芸賞」をもらった小学2年生の女の子の感想文です。

 「家に帰って『賞状と金メダルもらったよ』と言ったら、お兄ちゃんが『すごいじゃないか。がんばったらできるじゃないか』と言ってくれました」

 賞をもらってうれしくて走って帰って、お兄ちゃんに言ったのです。すると、いつもけんかばかりしているお兄ちゃんが、「やればできるじゃないか」とほめてくれたんです。きっと兄妹の絆が深まったことでしょう。

 「仲良し賞」をもらった小学1年生の女の子です。

 「お父さんがテレビの上にメダルを飾りました。賞状も立てました。お父さんが泣きました。私もつられて泣きました。仲良し賞をもらってとてもうれしかったです」

 お父さんの涙の意味は、この子にはまだよく理解できないのかもしれません。でもこれからの成長の中で、必ずいい影響を与えていくと思います。

(2003年7月14日号より)


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