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転載・過去・未来 2746号(2018/06/18)
その78 地球は「森の惑星」~自然の森はあって当たり前じゃない~

オークヴィレッジ会長 稲本正
 僕たち人間は、生きていくために呼吸をしなければなりませんが、酸素を出す「機械」として一番優秀なのは木の葉っぱです。人間1人が呼吸し生きるために、約6本の木が必要だといわれます。

 さらに僕たちは、飛行機や車など文明の利器も多く使うようになりました。これも酸素を使います。電気を点けるにも酸素が必要です。

 こうした生活に使う酸素まで含めると、人間1人が生きるために300本の木が必要だといわれます。ぜいたくな生活をすればするほど、さらに多くの木が必要になります。

 同じように水も、人間が生きるために必要です。森は、その水の確保にも大きな役割を果たします。森がない山だと雨が降っても95%くらいは蒸発するかすぐに流れますが、森林があると5、6割を保水します。

 地球は「水の惑星」といわれるように、確かに水は多いのです。しかしその約97.5%は海水で、飲めません。陸上に2.5%ほどありますが、その9割は南極の氷だったり、地下深くにあって人間の手には届かないところにあるのです。

 つまり人間が飲めるのは、地球上にあるほんのわずかな水だけなのです。しかもそれらも、浄化してきれいにしなければ飲むことはできません。その浄化の役割をしてくれるのも森なのです。

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 僕は世界の森をたくさん歩いて『森の惑星』という本を書きました。「森があって初めて人間は生きられる」ということを知ってほしくて書いた本です。

 高い鉄塔からゴンドラをぶら下げ熱帯の森を調査したことがあります。それで分かったのが鳥と木が持つ深い関係でした。実は、鳥がいないと森林を保つことができないということが分かったのです。

 たとえば、メキシコ南部からパナマ高地の熱帯雨林に生息しているケツァールという鳥がいます。手塚治虫のマンガ『火の鳥』のモデルになった鳥です。

 この鳥はアボカドの実を食べるのですが、その食べられたアボカドだけが発芽することが分かりました。この鳥がいなくなってしまうと、アボカドは育たなくなるということです。

 人間と森にも深い関わりがあります。人間は、森から離れては生きていけないのです。でもその森が、今世界的に壊れてきています。だから再生させなければいけないのです。

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 ヨーロッパは戦争で多くの自然を失いました。だからとても自然を大事にしています。人々は森に遊びに出かけ、森をきれいにしています。みんなでいい森づくりの努力をしているのです。

 一方日本は、森の面積が国土の67%で、フィンランド、スウェーデンに次ぐ世界第3位です。しかしその大きさゆえに日本人には「森はあって当たり前」という意識が強く、「森を大切にしよう」という意識がどうも薄いのです。森に行く人の数もそれほど多くありません。

 子どもたちの「生きる力」が問題視されている今こそ、森の大切さを見直す環境教育が必要です。そのためには、森に出かけて自然を体感させていくことが大切だと思っています。

 現代の教育で端に追いやられがちな「自然体験教育」を、もう一度根本から見直していく。それがきっと子どもたちの「生きる力」につながっていくと僕は思っているわけです。

(2003年10月6日号より)

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