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転載・過去・未来 2775号(2019/02/04)
その101 中津江村が有名に~勇気を出して手を挙げたから~

鷹鳥屋神社宮司(佐伯市宇目) 矢野大和
 中津江村(現・大分県日田市中津江村)は、2002年開催の日韓ワールドカップの際、公認キャンプ地に名乗りを上げ、アフリカのカメルーン代表のキャンプ地として選ばれました。

 その時、中津江村は非常に有名になりました。なぜか?

 カメルーン選手団が計画通りに来なかったからです。移動日程が大幅に遅れて、予定より5日遅れで村に到着しました。

 役場の職員たちは、到着を待ち続け連日徹夜続きです。「いつ来ますか?」という村の内外からの電話の対応にも追われました。

 待たされる側は腹を立てても仕方がないはずなのに、坂本休村長(当時)の対応がすごかった。

 「あちらにもご事情がおありでしょうから…」と、終始ニコニコして待ち続けたのです。

 ようやくカメルーン選手団が到着しました。夜中の3時でした。

 普通、そんな夜中に歓迎式典はやりませんよね。でも中津江村はちゃんとやったんです。

 しかも、村の総人口1300人にもかかわらず、何と500人も集まりました。

 村のお年寄りたちはニコニコしながら、「よう来たなぁ」「ご苦労さんじゃったなぁ」と選手の手を握り、ねぎらいの言葉を掛けました。

 カメルーンの選手たちはとても感動し、3日間余計に長居しました。今でも中津江村とカメルーンの交流は続いています。

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 村のお年寄りたちは、キャンプ地に決まるほんの2か月前まで、サッカーという競技の存在も知らず、「カメルーン」なのか「カメレオン」なのか、そんな国名の区別さえできなかったといいます。

 しかも、「ワールドカップが決まった」というニュースに、「なに? ワンカップ大関が来るのか?」という噂が流れたとか。

 でもそんなお年寄りたちも、キャンプ地が決まってからは一生懸命にサッカーやカメルーンのことを勉強し、彼らを迎えたのでした。

 歓迎の様子を見ていた全国の皆さんが感動しました。

 「あの村長はすごい。あの村の人たちはすごい。あんな状況なのにずっとニコニコして、温かいおもてなしの心で迎えている。なんていい村なんだ。あの村に行って、あのおじいちゃんおばあちゃんたちと一緒に記念写真を撮りたい」

 そう言って全国からたくさんの観光客が中津江村にやってきたのでした。

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 中津江村があれほど有名になった理由は、もちろんトラブルを良い方向に変える力があったからです。でももう一つ、考えて欲しいことがあるのです。

 「日韓ワールドカップのキャンプ地に立候補しませんか?」という呼びかけは、全国のどの自治体にも等しく投げかけられていました。

 中津江村でも、「立候補しましょう」という肯定的な意見より、「村長、やめときましょう。どうせ無理です。こんなド田舎の私たちの村まで来るわけがない」という否定的な意見のほうが絶対に多かったはずなのです。

 でもそこで、「でも、やってみなきゃ分からない。立候補だけはしてみよう」ということで、勇気を出して手を挙げたのです。

 中津江村の素晴らしさは、まずそこにありました。それが「いちばん小さな自治体のキャンプ地」の誕生につながりました。

 (2003年9月15日号より)


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