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転載・過去・未来 2783号(2019/04/01)
その109 自転車で世界一周~だから僕はギニアの村に井戸を掘る~

自転車で世界一周した男 坂本達
 僕が「世界」に興味を持ったのは、小学5年生の転校の時です。

 当時、「バミューダパンツ」という膝丈のズボンがあって、これをはいていると前の学校では「カッコイイ」と言われました。でも転校した学校では「カッコ悪い」と言われるようになったんです。

 仲間外れにされたりして、それを父に話すと、「世界は広くて、いろんな人がいる。いろんな文化がある」と言われました。

 それから僕は、世界地図を眺めては、「この国にはどんな人が住み、どんな暮らしをしているんだろう」と思うようになりました。

 その好奇心が膨らんで、ついに26歳の時、4年3か月間の世界一周に出発しました。たった1人での自転車の旅でした。

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 南アフリカのギニアでは、マラリアと赤痢に同時にかかりました。上からも下からも垂れ流し状態で、どんどん体力が奪われていきました。

 たまたま村にいたシェリフというお医者さんが、村にあった最後の薬で治療してくれました。

 僕はようやく一命を取り留め、出発できるまでに回復しました。すると、村長が1羽の鶏をプレゼントしてくれました。

 鶏といえば、普段村の人たちもなかなか食べられない貴重な肉です。それを、通りすがりの外国人の僕にくれたんです。

 その優しさと、人としての誇りの高さに感動しました。生かされている命に感謝し、涙を流しました。

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 ジャングルに、左右に分かれた道がありました。直感で左の道を選びましたが、やっぱり心配で、人が来るまで待つことにしました。

 30分ほど待ち続けた頃、1人の村人が来ました。その村人も「左」と言いました。

 左の道を行くと、やがて50㍍くらい走ったところで右の道と合流し、同じ場所に出ました。

 「炎天下で30分待ち続けたのは何だったのか」と苦笑いしました。

 でも、たとえ人が「右に行け」と言い、その通りに行って結果的に迷ったとしても、それでも「悪いのは自分」です。最後の決断をしたのは自分だからです。

 人のアドバイスを聞いて失敗しても、それを人のせいにするのは違うと僕は思います。
 「自分の聞き方が悪かったからじゃないか」とか、「もっとたくさんの人に聞いておけばよかったのかも」と考えるのです。

 そうやって自分自身の改善点を考えるからこそ、先に進めるんです。「何事も人のせいにしていると一生報われない」と思っています。そんなことを思いながら、僕は自転車での旅を終えました。

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 2002年7月、あのギニアの村をふたたび訪ね、命の恩人のシェリフと村長さんに再会しました。

 命を救ってくれたあの時の恩返しに、僕は村に井戸を掘ると決めました。

 世界一周のことを書いた『やった。』(三起商行発刊)の印税をその費用に充てました。

 その村の平均寿命は40歳未満です。抵抗力の弱い子は、生まれて数年で病気で亡くなります。

 マラリア、赤痢、コレラ、髄膜炎、寄生虫疾患、エイズなど、本当に厳しい環境の中で彼らは生きているのです。

 僕は運よくお医者さんと出会い、たまたま薬があって、そのお陰で今の命がある。「その命を使って少しでも自分のできる範囲で」と思い、活動をしています。

(2003年12月15日号より)


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