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転載・過去・未来 2787号(2019/05/06)
その113 葉っぱを生きがいに変えた町~「おばあさんは川に洗濯に…」ではなく「山に葉っぱ取りに行っています」~

株式会社いろどり代表取締役 横石知二
 「何とかこの街に活力を」ということで、26年前、私は当時の町長にスカウトされて徳島県上勝町に行きました。

 上勝町は人口約2000人の、四国で最も人口の少ない町です。86%が山で、人口の半分が高齢者です。そんな町でなぜビジネスが 成り立ったのか。

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 「葉っぱビジネス」を思いついたのはほんの偶然でした。大阪の寿司屋でご飯を食べた時、一緒にいた女友達が料理に添えられていた葉っぱをきれいなハンカチに包むのを見たんです。

 その時、直感で「葉っぱビジネスはカネになる」と思いました。

 高齢者が自宅の裏山に行って葉っぱを採ってきます。それをその日のうちに飛行機に乗せて全国の料亭に送り、その夜に「つまもの」として料理に添えてもらいます。

 このビジネスで70代80代の方が1日2万から3万稼ぎます。月収60万という人もいます。

 葉っぱを取ってくるなんてどこの田舎町でもできると思いませんか? でもうちの何が違うかと言うと、「仕組み」です。これはどこも真似できません。 

 まず町の防災無線を使って日本初の無線FAXシステムを開発しました。防災無線は1秒でも早く防災情報を知らせるシステムです。これを使って1秒でも早くオーダーを流してあげます。

 オーダーを受け取った人はすぐ裏山に葉っぱを取りに行きます。これは早い者勝ちです。若い子がコンサートのチケットを取るのと一緒です。すごい勢いです。つまり、この事業の成功は、高齢者に「出番」を与えたことなんです。

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 それから毎日パソコンには前日の売上ランキングが出る仕組みにしました。これが面白いんです。それを見ると名前と実績が分かるので、「あの人には負けたくない」という競争心が湧いてくるんですね。

 主要品目の動きは、私どもが先読みをかけていきます。ホテルでの婚礼情報、各種イベント情報、天候、祭事情報、これを1か月間先読みして、その情報を各家庭のパソコンに流します。

 これが、私たちが作り上げたシステムです。
 
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 私たちは葉っぱを売っているのではありません。このビジネスで葉っぱが占めているのは5%。あとの95%は「場面」「価値」「情報」「仕組み」、この四つの組み合わせです。

 最高の「場面」はどこにあるのか。どうやったら葉っぱの「価値」が発揮されるのか。どこに「情報」を流したらいいのか。そのためにどんな「仕組み」を作ったらいいのか。このことを私たちは考えてきたのです。ですから葉っぱがあるところならどこでもできるわけではないんです。

 この四つが「葉っぱ」という商品を生かす力です。その上で「おばあちゃん」という最高の「役者」が活躍する「舞台」を作っているわけです。

 おばあちゃんたちはコツコツ働きます。根気があります。植物に対する知識があり、山で暮らした経験があります。そして負けず嫌いです。さらに木登りもできます。もし若い子に葉っぱを取りに裏山に行かせたら、月10万も稼げないと思います。

(2007年6月25日号より)


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