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転載・過去・未来 2820号(2020/01/20)
その145 チャンスをつかめる人~現在(いま)に生きた早川徳治の人生~

天台宗僧侶 藤井妙法
 早川徳治という人がいます。 彼は明治26年生まれで、22歳の時に「早川式繰出鉛筆」(いわゆるシャープペンシル)を発明しました。

 早川は不遇な幼年時代を過ごします。

 1歳10か月で養子に出され、その家でひどい目に遭って死にそうになり、9歳の時奉公に出されました。

 しかし、その後シャープペンシルを発明してその特許を取ったことで200人の従業員を抱える会社をつくりました。

 ほかにもベルトのバックル、水道の蛇口などを発明し、順風満帆な人生を送るかと思われました。

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 ところが大正12年9月1日、関東大震災が起こります。

 これによって彼の会社と工場は全壊し、奥さんと子ども2人も亡くなってしまいました。

 早川は会社を立ち上げる際に、ある人から2万円の借金をしていました。今でいえば2億円です。

 しかし、会社と工場を失ったことでその借金を返せなくなった早川は、仕方なくシャープペンの特許までも譲渡せざるを得なくなったのでした。

 文字通り彼は、すべてを失い裸一貫になりました。そして夜行列車に乗って東京から大阪へと夜逃げしていきました。

 でも彼は、それまでの出来事について後悔したり、過去や誰かを恨んだりするようなことはしませんでした。彼がとにかく考えたのは「現在(いま)をどう生きるか」だけでした。

 彼が一生懸命考え続けた「次、何を発明しよう」が、彼を人生の成功者へと導いていったのです。

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 早川が大阪駅に着いた時、彼の耳に飛び込んできたのがラジオの音でした。

 当時、ラジオはまだ日本国内では作られておらず、すべて海外からの輸入品でした。そして彼はひらめきます。

 「そうだ、国産ラジオを作ろう!」

 そこから彼は、やがて国産第1号のラジオを作り、さらに国産第1号のテレビまで作りました。

 そして彼は、家電メーカー「シャープ」の創業者になりました。

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 早川はなぜここまで多くのことを成し遂げられたのでしょう。それは彼が恵まれた環境にあったからではありません。

 「成功するまであきらめない」「死ぬ瞬間まで人生を投げ出さない」ということを実行できる人だったからです。

 彼は人生の中で、とても大きな困難に見舞われました。でもどんなに大きな困難であっても、それ自体は、実は不幸でも幸福でもありません。困難やピンチが来た時には、実はその人の前には二つの道があるのです。

 一つは、その困難をバネに、困難から学び、困難を克服し、幸せになる道。もう一つは、困難に呑み込まれ、困難に敗れ、不幸になっていく道です。

 そのどちらの道に行くかを決めるのは、やはり最後は自分自身なのです。

 宝くじが当たったとすれば、それはもちろん「チャンス」です。でもその人の目の前には、「賞金を元手に幸せになっていく道」と、「賞金に溺れ、自分を見失い不幸になる道」の二つの道があるということです。

(2000年9月4日号、9月11日号より)


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