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転載・過去・未来 2822号(2020/02/03)
その147 まんざらでもないよ~愛されるために生まれてきた~

魂の編集長 水谷謹人
 先日、千葉県の幕張で、健常者と障がいをもった子どもたちが共演する「チャレンジド・ミュージカル」を観た。

 「チャレンジド」とは「障がい者」を指す言葉で、「神様から挑戦すべき課題や才能を与えられた人」という意味が込められている。

 オープニングでリズミカルな音楽が流れた。年齢からして30~40代の男女が出てきて歌とダンスを披露した。

 子どもたちによるミュージカルと聞いていたので、最初は「ん?」と思ったが、みんなとてもいい表情だった。激しい動きにもかかわらず終始さわやかな笑顔。

 途中で気が付いた。「もしかしたらこの人たちは、これから出演する子どもたちの親じゃないか」

 オープニングの後、ミュージカルが始まった。ステージにはダウン症の子、知的障がい児、自閉症の子など障がいもさまざま。車いすに乗って上半身を懸命に動かして踊っている子もいた。

 約1時間の公演の後、再びオープニングに登場した男女が舞台に登場した。何人かがマイクを持って交互に語り始めた。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ある女性は言った。

 「子どもが生まれたという喜びと同時に、お医者さんから『お子さんには障がいがあります。一生治りません』と告知され、地獄に落とされました。一緒に死のうと思ったこともありました」

 別の女性がマイクを持った。

 「ずっと問い続けてきました、『この子は何のために生まれてきたの?』って。ある日分かったんです。この子は愛されるために生まれてきたんだって」

 3人目の女性はこう言った。

 「あの子は私をいろんな色に塗ってくれました。そして私はたくさんの優しさと出会いました。ありがとう」

 そして4人目の女性のメッセージ。 

 「今あの子の障がいは愛に満ち溢れています。今障がいをもっている小さなお子さんを育てている親御さんに言いたいことがあります。障がいのある子どもを育てるって…まんざらでもないよ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~


 実はうちの義弟も知的障がい者だ。既に50歳を超えている。障がい児が集まってミュージカルをやるなんて、彼が育った時代には考えられないことだ。

 義母の話によると、彼の子育ては本当に大変だったそうだ。育てるだけで精一杯。将来のことを考えると暗い気持ちになった。しかもそこに精神的なサポートがあるわけでもない。

 「まんざらでもない」とは「意外と楽しいよ」という意味だ。

 あの親御さんたちがそう言えるようになるまでにどれほどの歳月を要したことだろう。きっと彼らは、どこかで同じ境遇の親たちと出会い、互いの悩みを語り、共に泣き、共に笑いながら絶望感や悲愴感をくぐり抜けて、「前に進もう」という気持ちになっていったのだろう。

 そんな人たちの輪が少しずつ広がっていけば、本当の意味で「支え合う社会」「助け合う社会」ができると思う。

ミュージカルの後、『子育てハッピーアドバイス』の著者・明橋大二さんがこう話されていた。

 「よく『子どもは国の宝』と言われます。ならばそんな子どもを育てている親も『国の宝』ですよね」

(2009年12月14日号社説より)


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