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転載・過去・未来 2824号(2020/02/17)
その148 自分を励ます言葉~あなたはいくつ持っていますか?~

フリーアナウンサー(元NHKアナウンサー) 加賀美幸子
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 私は昭和38年にNHKに入局し、放送の仕事一筋でやってきました。と言っても何も自慢するものはなく、自慢できるのは年齢くらいかなと思います。

 「年をとる」という言葉を辞書で調べてみると「実り」という意味がありました。

 一年でも長く生きられたということはそれだけ「実りを手にできた」ということなんですよね。

 世界には戦争や飢えや貧困などで命を落とす国がたくさんありますね。でも本当はみんな生きたいし、一日でも長く年をとりたいはずです。そう考えると、「年をとれることはとても幸せなことだ」と思うのです。

 そう考えるようになってから私は、「年をとった」ではなく「年をとることができてよかった」と言うようになりました。

 そう言うと、私自身が笑顔になれるんです。

 笑顔は脳の活性化に繋がります。自分で笑うのはもちろん、他人が笑うのを見ても脳は活性化するんです。

 「口角をちょっと上げるだけでも脳は活性化するんですよ」と脳研究の先生から教えていただきました。
 
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 放送局では毎日凄まじい量の仕事をしていました。大変なニュースもたくさん飛び込んできます。笑ってばかりいられない現実もたくさん目にしてきましたが、その一方で楽しい話にも出会ってきました。

 私は自身が担当していた『ラジオ深夜便』という番組の中で女優の吉行和子さんからお話を伺ったことがあります。

 吉行さんは『がばいばあちゃん』という映画に出演されました。「がばい」とは佐賀の方言で「頑張り」とか「すごい」という意味です。その映画のセリフに私はとても胸を打たれました。

 吉行さん扮するおばあさんがこう言うんです。

 「貧乏には明るい貧乏と暗い貧乏がある。うちは明るい貧乏だから心配しなくていいよ。しかも、今に始まった貧乏じゃなくてずっと続いている貧乏だから自信を持ちな」って。

 人から嫌われて落ち込んでいる時のセリフもありました。

 「目立つから嫌われるんだよ。つまりあんたは人より目立つものを持っているってことだよ。自信を持ちな」

 いろいろ悩みごとがあって夜眠れない人には、おばあちゃんはこう励まします。

 「夜考えるから眠れないんだよ。朝考えてごらん。そうすればなんでもないよ」と。

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 吉行さんのお話を伺いながら、私は「これは自分を励ます言葉なんだなぁ」と思いました。

 皆さんは、自分を励ます言葉をいくつ持っていますか?

 言葉は「伝える道具」だけでなく、「物事を考える道具」でもあるのです。頭の中で考えている時、いつも言葉で考えているでしょう。

 だから、すてきな言葉を持っていれば、その言葉で自分自身を励ますことができるんですよ。

 私が生き馬の目を抜く放送局でずっと仕事を続けられてきたのも、たくさんの言葉と出会い、その言葉に励まされてきたからのような気がしています。

 人生というのは、みんなそれぞれ大変な状況がやってくるものです。その時に、どんな言葉を自分自身が持っているかによって困難の乗り越え方が変わってくるんじゃないかな。私はそう思っているんですね。

(2007年6月11日号より)


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