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転載・過去・未来 2826号(2020/03/02)
その150 ボランティアから見えたこと~「必ず変わる」と信じて動く大切さ

タレント アグネス・チャン
 初めてアフリカに行ったのはエチオピアです。干ばつと内戦で何百万人もの人々が飢えで亡くなっていました。

 私の目の前でバタバタと子どもが死にました。そして「スペースがない」ということでひざを曲げて埋められていきました。

 私は悔しくて、その晩からご飯が食べられなくなりました。そして一緒に行っていた日本人の看護師さんに言いました。

 「食べ物を捨てる国と食べられずに餓死していく国とがある。この地球のアンバランスを直さなきゃ何をやったってムダよ…」と。

 彼女は私の言葉を遮り、「理屈は誰でも言える。少しでも子どもたちに申し訳ない気持ちがあるなら、与えられた役目を果たしなさい」と言いました。

 そのキャンプには何千人もの子どもたちが毎日来て食料を食べていました。

 これらはすべて日本の皆さんの募金です。こうして何千人もの子どもたちが、少しかもしれないけどその募金で救われている。そう考えた時、「彼女の言うことのほうが正しい」と思いました。

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 ボランティアをすることを日本人はとても照れますよね、いいことをやっているのに。お礼を言われたら、「そんなこと言わなくていい」と恥ずかしがったり。

 だから私は、「それをいいことだと考えなきゃいいんだ」という結論に達しました。
 「いいこと」じゃなくて「当然のこと」と考える。「生きていく上でやって当たり前のこと」と。

 だって私たち人間って、生まれた時から誰かの世話になる運命なんだもん。鹿とか馬みたいに生まれた瞬間から自分の足で立てるわけじゃない。誰かが抱っこしておっぱいをやって、病気になったら看病してもらわないと死んでしまうんです。

 人間はすごく弱い存在なのよ。誰かが面倒を見てくれなきゃ、人生は始まりません。

 今生きてるってことは、絶対今まで誰かの世話になって「迷惑」を掛けてきた。「これから自分は一人で自立して生きていく」と思っても、やがて体が衰え、また誰かの世話になる時が来る。これが自然なサイクル。

 だから、自分が元気に動ける時には、それまでの感謝の気持ちで、そして「これから面倒を見てもらうかもしれない」という保険の意味でも、「やって当たり前」と考える。

 みんなで迷惑かけ合って、助け合って生きていく。だから人間は美しく、そしてたくさん幸せになれると思うんです。

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 ボランティア活動をしていると、「私って力がないなぁ」という無力さばかりを感じてしまう時もあるんです。でもようやく納得したことがあります。

 私一人が動いても世の中はもちろん救えません。でもみんなそう思っていたら誰も動いていないはずです。

 でも日本でも世界でも、たくさんの人が今ボランティアとして働いています。つまりみんなきっと信じているんです、「自分一人の力は小さいけど、みんなでやれば大きな流れになって、少しずつ世の中は変わっていくはず」と。

 それだったら、「理屈ばかり言って何もやらない組」に入るより、私は「必ず変わるはずと信じていく組」に入って、できるところから活動していくほうが素敵じゃない?私はそう納得したんですね。

(2000年3月13日号より)


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