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取材ノート 2659号(2016/08/08)
あなたは何回?

編集部 野中千尋
 弥生時代・3990回、鎌倉時代・2645回、江戸時代・1465回、そして現代・620回。

 さて、これは何の数字だと思いますか?

 正解は「1回の食事あたりの噛む回数」です。ハンバーグやスパゲッティなど、柔らかいものを好んで食べるようになった現代人は、噛む回数が弥生人の6分の1まで減っているそうです。

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 様々な健康法やダイエット法が流行っては消えていく中で、「しっかり噛んで食べる」ことの大切さは健康・美容の両面から長年注目され続けています。

 「口はいのちの源」というシリーズで2013年に掲載された医学博士・河原秀雄先生も認知症の回復や病気予防、学力アップなどの効果を挙げ、「老いも若きも日本中、とにかく噛むことを実践してください」とお話をしめくくっていました。

 このお話を読んだとき、私は「そんなことは知っているし、自分は実践できているだろう」と自信満々でいました。

 食べるものによって多少変わりますが、日本咀嚼(そしゃく)学会では一口およそ30回、一食をだいたい1500回噛んで食べることを勧めています。

 それを聞いて、晩ごはんのときに自分の噛む回数を数えてみると、一口わずか10回ほどしか噛めていませんでした。

 「ちょっと固いな」と思うものでも20回弱。早食いの私は、ほとんど飲むようにものを食べていたのです。

 「知識はあっても意識しないとだめなんだ」と実感しました。

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 さて、せっかくよく噛んで食べるなら、おいしくて身体にいいものを食べたいですよね。

 そんなときにおすすめの食材が、食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱する「豆・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚・椎茸(きのこ類)・イモ」です。「まごはやさしい」という覚え方でも有名ですね。

 その中でも海藻・ごま・きのこ類は、歯や骨を丈夫にしてくれるので、しっかり噛んで吸収力を上げるほど効果が期待できそうです。

 普段の食事から噛む回数を意識すること、そして昔ながらの体にいい食材を進んで食べること。いずれにしても、「ちょっとの意識を忘れないこと」が、おいしく食べて健康になるためのポイントなのかなと思いました。

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 余談ですが、休日に祖父母の家に行くと、帰りには持っていったお土産の5倍くらいの量をいつも持たされます。

 中身はゴーヤや椎茸の佃煮、大豆とちりめんじゃこの炒め物、アジと大根の酢の物や乾燥わかめなど、まさに「まごはやさしい」の食べ物づくし。「孫に優しい」なぁとしみじみ思います。

 子どもの頃から変わらない味を、ありがたみと一緒によく噛みしめて食べています。

(編集部/野中千尋)
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