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飛行機雲に夢を乗せて… 2659号(2016/08/08)
その5 「天使のいたずらのような揺れが…」「眼下には純白のウエディングドレス…」機長アナウンスへのお客様の声

『夢 実現』未来工房代表/元全日空機長 山形和行
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 私は、2001年にアメリカで起きた同時多発テロの翌年まで約10年間、長距離国際便の機長をしていました。 

 長距離国際便には交代要員のキャプテンがいて、テロが起きるまでは休憩時間に私はよく機内のお客様のところに行ってあいさつをしていました。

 ある日、1人のお客様に「あなたのアナウンスは今まで聞いた中で一番素晴らしい!」と褒めていただきました。その方が後に私のファンクラブの会長になられました。

 国内線の機長をしていたときも、お客様からの感謝のおたよりが本社や降機時によく届いていました。その一部をご紹介します。

 「…306便の機内がこんなに楽しい時間になろうとは一体誰が予想したでしょうか? 『天使のいたずらで強く揺れましても飛行の安全性にはまっっっっっっっったく影響ございません』。何と面白く、乗客に安心感を与える言葉なんでしょう。山形キャプテン自らPRされた『世界一安全な航空会社』と思わず納得してしまいました。…」

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 「…先日、福岡へ移動したとき、すてきなアナウンスをなさる機長さんに出会いました。離陸待機の時から早々とごあいさつです。『お客様の迅速なご搭乗と地上の優秀な職員の誘導により、定時出発することができそうです』。自社のスタッフを信頼しているとは、いい感じです。『本日は揺れの少ない航路を参ります予定ですが、離陸しますと、しばらくゆりかごのような揺れと…』

 はっ? 『時折天使のいたずらのような揺れが…』。明らかにいつもと違います。

 そして…『揺れましても安全運航上まっっっっっっっっったく影響ございません』。すでに笑いが起こっています。もっとも機内で仕事をしたい、静かに眠りたい、というお客様からの苦情もあるとのこと。その気持ちもよく分かります。

 きっとこの機長さんは、飛行機は『単なる移動手段』と思っている方に、空から見るいつもの街の美しさ、雄大な自然を楽しめることを伝えたいのです。それほど仕事と空を愛していらっしゃるのだと思いました」 

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 「先日、飛行機に搭乗した際の出来事です。席に着いてホッとしていると機長からアナウンスが入りました。通常、このような唐突な機長アナウンスは良い類のものではありません。しかし、今回の内容は少し思ったものとは違いました。

 『…素晴らしい乗客の皆様と優秀な地上スタッフ並びに搭乗スタッフのおかげで通常よりも3分も早く完璧な出発準備を整えることができました。これから真っ青な空に一筋の飛行機雲を描き、眼下には純白のウエディングドレスを広げて飛び立ちます。…』など流暢(りゅうちょう)に抑揚をつけて機長が話し始めたのです。

 お見事でした。乗客の中には笑いながら拍手をしている人もいました。仕事には、個人でこうしたいという『個人の論理』と、組織としてこうあらねば、という『組織の論理』があると思います。この二つの論理が一致すればそれは素晴らしいのですが、実際にはなかなか難しいもの。たぶんそれを一致させるためには『個人の勇気』が必要なのではないでしょうか。

 賛否両論あるかもしれませんが、『きっとお客様の役に立つ』と信じて継続すれば賛同する人が増え、組織も認めざるを得なくなるでしょう。たぶんこの『個人の勇気』を持つことが仕事を面白くさせるきっかけの一つなのかな、と感じました」

(福岡県の赤中学校で行われた講演会にて/村岡史章・九州特派員取材~参考文献『世界一のココロの翼を目指した名物機長のおもてなし』<ごま書房新社>)
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