試練こそ人生の宝物 2659号(2016/08/08)
その7(終) どん底を抜けたらへこたれない強い自分になっていた
タレント 森脇健児
【前回までのあらすじ】収入ゼロの状態から再起をかけて耐え忍ぶ森脇さんに、ようやく希望の光が当たり始めた。2014年の春の番組でプロデューサーから主役を提案される。妻、娘、そして最初は固辞していた息子もようやく出演を承諾する。長い低迷からの脱出劇がいよいよ始まる。TBSの番組『オールスター感謝祭』で、僕ら家族対スポーツ万能芸能人とのリレー対決が始まりました。
第1走者は息子で、ぶっちぎりの1位。次に娘にバトンが渡り、リードを守りながら嫁にバトンが渡り、そしてアンカーは僕でした。
僕が1位のままゴールしようとしたら、ゴール直前でEXILEの関口メンディーさんに抜かれ、結果、森脇家は2位でした。
でも司会の今田耕司さんやスタジオのみんなが褒めてくれて、娘も嫁も喜びました。
AKB大好きの息子は、高橋みなみちゃんに握手してもらい、フェイスブックに「森脇家に生まれてよかった~」と書いていました。
僕は家族みんなに声をかけ、あの「心臓破りの坂」に上り、また4人で写真を撮りました。
そのときは目の前に明るい未来が広がっているような、とても清々しい気持ちでした。
地味に、地道に、一つひとつコツコツやってきました。だからこそ道が開けたのだと思います。それが僕が自慢できることの一つです。
やっぱり「コツコツ」が人生のコツなのだと思います(笑)。
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20代のとき、「なぜ僕はダメになったのだろう」と何度も考えました。
そのときに思い出したのが高校の陸上部の監督の言葉です。
「努力する者、夢語る。サボる人間、愚痴語る」
僕は人気がなくなっていく中、それを認めたくなくて、番組や共演者、関係者の悪口や愚痴をいつも言いながら自分を正当化していました。そのうちに周りに誰もいなくなってしまったのです。
そのことに気付いてから僕は、「人の悪口や世の中に対する愚痴を一切やめよう」と心をあらためたのでした。
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誰だって悪口を言われるのは嫌ですよね。昔は僕も、悪口を言われるとすぐに腹を立てていました。
でもあるときから、「森脇健児」の名前が話題にもうわさにもならず、悪口さえも言われなくなったのです。
それは僕の存在があたかも世の中から消えてしまったかのようで、とてもつらい経験でした。
最近ネットで「森脇健児、嫌い」とか「アカン、こんなやつ」とか悪口を言われるようになってみると、「世間の人たちがまた僕の存在を認めてくれるようになった」と思えてうれしく感じたりするのです。
だからお話をさせてもらうときやラジオでも言っています。
「悪口を言われても気にするな。でも絶対人の悪口は言うな。悪口というのは言った奴のほうが上がってこられなくなるんだよ」と。
僕はこれまでつらい経験をたくさん味わってきました。でもそれが自分をこんなにたくましくしてくれたのだと思います。
今48歳ですが、50代からが本当の勝負だと思っています。
これからも一本一本仕事を大事にしながら全力で生きていきます。
(阪神奈大学・研究機関生涯学習ネットが主催した「公開講座フェスタ2015」より/塩崎計吉・関西特派員取材~終わり)