取材ノート 2589号(2015/02/16)
生き方が街をつくる
編集部 増嶋太志
先日、宮崎市内で行われた「地方創生元年」トークライブに行ってきました。登壇者は、レバレッジコンサルティング㈱代表の本田直之さん、㈱スプリー代表の安藤美冬さん、『BOND』編集長の小柳俊郎さん、㈱キャンバス代表の宮原秀雄さんという豪華な方々で、「新しい働き方や生き方」をテーマにしたトークイベントでした。
なかでも、本田さんの「魅力的な街とは何か?」という話は興味深かったです。
オーストラリアのバイロンベイという街は、自分たちの街や文化を守ろうという想いのある人が多く住んでいます。
そのため、大手のチェーン店を街につくらせません。サーフィンをするために移住してきたサーファーたちが、自分で小さなお店を開くなどして生活していて、そんな人の生き方が街の文化になっているそうです。
そうやって、その土地に住む人によってつくられた街のあり方が、世界中から人が集まる魅力となり、さらに街が豊かになっているのです。
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また、本田さんは、日本の地方が東京にばかり目を向けてしまっていることにも触れていました。
日本や世界を旅するなかで、魅力を感じない街は、どこも同じなのだそうです。
「大きなショッピングモールがあって、チェーン店が並んでいて、どこに行っても同じ景色になってしまっている。昔はそうして便利になることが発展だと思っていたんです。どこでも見かける店が安心だと思い、それが進化だと信じていたんですけれど、最近はそういうことを拒否してきた街こそが魅力的な街だと思えるんです」と本田さん。
その話を聴きながら、僕は自分の地元のことを思い出していました。
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僕の地元には、車で30分圏内に大型ショッピングモールが6つあります。
国道沿いには、どこでも見かけるチェーン店がこれでもかと並んでいます。手軽に何でも食べられるし、すぐに何でも揃うし、遊ぶために遠くへ行く必要もありません。
地元に住んでいた当時は、疑問を感じることなくその恩恵を受けていました。
しかし、街が標準化されていくことやあまり動かなくても満たされる自分自身に、今ははっきりと違和感を感じています。
今回のトークライブでの話を聴いて、自分たちの街を自分たちでつくることは決して難しくないと改めて感じました。
なぜなら、「自分はどう生きたいか?」という問いに向き合う一人ひとりの想いや考えが、その街をつくっていくと思えるからです。
僕自身も、その問いを大事にしながら、街のつくり手の1人として楽しんで生きていきたいと思います。