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取材ノート 2660号(2016/08/15)
暑くて熱い夏

編集部 増田翔子
 夏真っ盛りの8月、セミの声がよりいっそう暑さを感じさせてくれます。

 一方、夏の「熱さ」を感じさせてくれるものといえば、夏の全国高校野球大会、通称「甲子園」ではないでしょうか。

 今年で98回目となるこの大会で、63勝という最多勝利記録を持っているのが、智辯(ちべん)学園和歌山高校の野球部を率いてきた高嶋仁(たかしま・ひとし)監督です。

 中でも2009年大会9日目の第3試合、札幌第一高校との試合はとても印象的でした。

◎          ◎


 7回表、5対2で3点を追う智辯和歌山の攻撃。この回に高嶋監督はずっと起用してきた選手の代わりに2桁の背番号をつけた選手を代打で投入します。その選手たちはみんな3年生でした。

 起用の理由について、後に高嶋監督は「『この大会で最後だ』という3年生の意地に賭けてみた」と語りました。

 主将でありながら背番号「14」をつけていた左向勇登選手が放った渾身の一打は見事ヒット。試合後のインタビューで左向選手はこう言っています。

 「準備はいつもしていたから、呼ばれたときは意地でも打ってやろうと思った。ベンチにいる3年生はみんなそう思っていますよ」

 この回に5対4と1点差にした智辯和歌山は最終回でも魅せてくれます。

 9回でも3年生が大活躍。同点に追いつくヒットを打った喜多健志郎選手は「監督が僕らの意地を信じてくれるなら、それは3年生にとっても嬉しいです」と話したそうです。

 結果、5対8で試合終了。見事逆転勝利を収めました。

 高嶋監督が信じた「意地」。実はこの言葉は仏教から生まれた言葉で、本来は「素直な心」のことをいいます。

 「絶対勝ってやる!」「自分は打ってやる!」と心の底から純粋に湧き上がってくる気持ちが「意地」ということです。それは、劣勢になったときに自分を奮い立たせてくれるものでもあると思います。

 この智辯和歌山の1勝は、間違いなく気持ちで勝ち取ったものでした。

◎          ◎


 甲子園が多くの人に愛される理由は「何が起こるか分からないから」だと思います。

 必死に白球を追う球児たちの姿に心を打たれるばかりか、最後まで試合から目が離せない。だからこそ甲子園は面白いのです。

 同じく2009年の決勝戦、中京大中京高校と日本文理高校の試合も感動的でした。

 10対4の点差、9回ツーアウトから始まるドラマは、まさに意地と意地のぶつかり合い。暑さを忘れて熱くなったのを今でも覚えています。

 今年の甲子園でもいろんなドラマが生まれていることでしょう。大会は8月20日頃まで行われます。皆さんもぜひご覧ください。
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