人生の言葉を探して 2550号(2014/04/21)
その4 「だけど僕、今生きてるんだよ
当時、私は受験を控えた高校生でした。受験勉強の気分転換に何気なく一冊の本、『死よ、驕るなかれ』(ジョン・ガンサー著・岩波新書)を手に取りました。
著者の息子は脳腫瘍を患っていました。当時の脳腫瘍は死病です。著者は息子を手許に引き取り、気ままな生活をさせます。
ある時、息子は父に言います。
「僕、大検(大学受験資格検定試験)を受けたいんだ」
父は答えます。
「でも、お前・・・(近いうちに死ぬ運命だぞ)」
息子はさらに言います。
「だけど僕、今生きてるんだよ」
私はこの言葉に感動して泣きました。そして、『生きている間、俺も精一杯学び続けなければ』と思わされました。八十歳になった今でも、学ぶ意欲を持ち続けています。
(愛知県東郷町/横井昭典)
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「起こっていることは変えようがないが、 その解釈は自分で決めていいんだよ」
主人公・美樹の14歳と28歳の場面の二部構成で描かれている『心晴日和』(喜多川泰著・幻冬舎)を読むと、人と関わるときの自分自身の姿勢を考えさせられます。
「人間は自分が探しているものしか見つけることはできない」
「起こること、すべての原因は自分にある」
「起こっていることは、変えようのないことだけど、それが自分の人生にとって何を意味するかという解釈は自分で決めていいんだよ」
人は、うまくいかないことがあるとどうしても他人や環境のせいにしてしまったり、自分自身の思い込みに気付かなかったりします。そんなときにそっと背中を押してくれる言葉が詰まった本です。
(宮崎県高鍋町/木下浩利)
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「今やっていることが人生のどこかで つながると信じるしかないのです」
『Stay Hungry. Stay Foolish. (ハングリーであれ。おろかであれ)』で有名なアップルの創業者スティーブ・ジョブスが、2005年スタンフォード大学の卒業式で行った『スティーブ・ジョブス 伝説のスピーチ』(YouTube日本語字幕)は、目の前の仕事の意味を見失ったときにオススメの動画です。
彼が語った三つの話のうち、「点と点をつなげる」という話は、彼が大学を中退した後に潜り込んだ「カリグラフ」という文字デザインの授業で身に付けた技術が、当時は何かの役に立つなんて考えもしなかったのに、10年後に美しいフォント(字体)を持つコンピューターの誕生につながったという話です。
「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎ合わせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。我々は今やっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかないのです」
目の前で起こった出来事や、周りの人から掛けられた言葉が、後になってつながった経験をしたことがある人も多いと思います。
今やっていることが、いつか実を結ぶと信じて、進んでいくしかないと思わされる言葉です。
(石川県金沢市/川内清明)