怒りのマネジメント術 2550号(2014/04/21)
その3 怒りは「第二次感情」です その根っこにある感情に気づくことが大事
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会 代表理事 安藤俊介
怒りの感情はみんな持っています。持っていていいんです。なきゃ困ります。そして、アンガーマネジメントをやっていくと、怒りの感情に気付くことができるようになります。でも、それは別に敏感になれということではありません。ただ、怒りの感情が「ある」ということを認識すればいいんです。
そして、怒りの感情は、専門用語で言うと「第二次感情」と言われています。「第二次」ですから、「第一次」が存在しています。
つまり、怒りの感情というのは、急に空から降ってくるわけではなくて、ある仕組みによって発動するものなんです。
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心の中にはコップがあると思ってください。毎日起きてから、全員がそのコップに1日かけて、「つらい」とか「苦しい」とか「嫌だ」「不安だ」といったネガティブな感情の水を注いでいきます。
そのコップがネガティブな感情でいっぱいになると、何かあったときに溢れて、怒りという感情が発動するんです。
逆に言うと、そのコップにあまりネガティブな感情が入っていなかったら、そうそう怒りという感情は発動しません。
例えば、自分がすごく疲れている時、すごく苦しい時、すごくストレスを感じている時、つまりコップに水がいっぱい入っている時は、周りで子どもたちが騒いでいたら、うるさくてしょうがありません。
一方で、自分がすごく機嫌がいい時、リラックスしている時、リフレッシュしている時、つまりコップにあまり水が入っていない時には、近くで子どもたちが騒いでいても、そもそも視界にも入りません。
今、皆さんの心のコップには何が入っていますか?
不安だから怒っているのか、悲しいから怒っているのか、つらいから怒っているのか。何で自分が怒っているのかを察してください。不安とか悲しみとかつらさがあるとしたら、それこそ本当の感情なんです。
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ところで、私たちが怒る時って、相手に何かをしてほしいから怒るわけです。理解してほしい、言うことを聞いてほしいから怒るんです。
実は、私たちは子どもの頃から、三つの方法を使って人をコントロールする努力を延々と続けてきています。
例えば、子どもが親におもちゃを買ってもらうためにどうするか。
怒る。甘える。泣く。
子どもはこの三つの方法を使います。
それで、子どもの頃はどうにかうまくいくことが多いんですが、大人になるとうまくいきません。
それなのに、その癖が抜けずに、大人になってもこの三つを使い続け、うまくいかなくてイライラする人が多いんです。
うまくいかないと、大人は何をするかというと、怒ってダメだった人はさらに怒ります。甘えてダメだった人はさらに甘えます。泣いてダメだったらもっと泣きます。
つまり、単純にボリュームを上げるだけなんです。
それじゃダメです。
本当に伝えたいことは、それじゃ伝わりません。
何で伝わらないかというと、皆さんの心の中にある想いがわからないからです。皆さんの想いがわからないから、どんなに怒ろうが甘えようが泣こうが、相手は言うことを聞かないんです。
ですから、心の中にある想いを明確にして、周りの人に伝える努力をしましょう。
(一般社団法人日本アンガーマネジメント協会主催の講演会より)