すべての子にチャンスを! 2535号(2013/12/16)
その3(終) どんな問題行動も心の飢えを満たせば必ず解決できる
NPO法人 奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」所長 三浦一広
10年前から治安が非常によくなってきています。そして4、5年前に目標ができました。自然豊か、人情味豊かな奄美大島にもやくざがいるので、そのやくざをなくそうと思ったんです。
さかのぼって8年前、私は鹿児島刑務所900名の前で講演をしました。そこで、「出所したら訪ねてきてください」と言ったら、その中に奄美出身のやくざの幹部がいまして、その人から電話が来たんです。
それで、夜8時から1時間だけ時間を取りました。時間きっちりに、車3台、9名のやくざが「ゆずり葉の郷」にやってきました。
私は、ビックリした反面、大歓迎しました。罪は憎んでも人は憎まずで、「飲むか!?」と言って大歓迎したんです。
9時になって、気持ちがよくなっていたものですから、30分延長しました。それで9時半になって、子どもたちもいるから帰ってもらいました。
ポイントは、その9名の中で誰が一番のリーダーかということです。これさえ押さえることができれば簡単です。
私は、そのリーダーらしき人物と再び会いました。飲みながら彼がぽろっと、「俺もやくざやめようかな」と言ったんです。
それを聞いた私は、「では解散しましょう」と言って、解散準備式をしました。場所は居酒屋です。60名くらいの構成員、準構成員、その周辺者が参加して、本当にやくざを解散することができました。
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私は子どもたちに将来への夢を語り続けてきました。「やればできる。できないことはない」と。
今後、「ゆずり葉の郷」から、全国の子ども問題の対応施設モデルとして発信したいと思っています。
社会から排除されている子どもたちにセカンドチャンスを与えると共に、安全な生活環境を与えていきたいと思っているんです。
問題行動は、心のエネルギーが枯渇していることが原因になっていることが少なくありません。愛される、大切にされる、認められることで、精神的充足が得られ、意欲や成長のエネルギーが湧いてきます。
非行などの反社会的な現象も、引きこもりなどの非社会的な現象も、全ては心の飢えを満たすことで解決できると信じています。
一方、若者の死亡の第一原因は自殺という悲しい現実があります。夢と希望が持てず死に急ぐ若者が増えているんです。
そんな若者にも、気迫と感動で親身に向き合えば、全ての子は元気になり、前向きになり、生まれ変われると信じています。
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「よい思想も、これを実行しなかったら、よい夢と同じである。」
アメリカの哲学者、エマーソンの言葉です。
夢物語で終わらせたくありません。奄美でうまくいけば、おそらく全国でもうまくいくんじゃないかと思っています。
そのためにも、青少年支援室を作って、全国で病んでいる子どもたち、子育てに苦しんでいる親御さんたちが奄美に来て、癒される、元気が出る、来てよかったと言われる環境づくりをしていきたいと思っています。
どんな子どもでも生まれ変わることができます。
もし、子どもが変わらなかったら、子どもが悪いんじゃない。大人に問題があるんです。
許して、認めて、褒めて、励まして、感謝されることを、子どもたちは待っています。
ぜひ、そんな関わりをしていただきたいと思っています。
(東京都で開催された第6回下町平和賞授与式記念講演会より/終わり)