水谷もりひとブログ

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【朝礼】メンバーシップとフレンドシップ

よくスポーツマンシップとか、リーダーシップとか言いますよね。

この「シップ」とは何かなと思って調べてみたら、「あり方」でした。
つまりスポーツマンとしてどうあるべきか。それをスポーツマンシップというわけです。
たとえば、「卑怯なことはせず正々堂々と試合を戦います」というときに「スポーツマンシップに乗っ取って」というわけです。

リーダーシップとは、リーダーとしてどうあるべきか。言ってみれば、指導者としての力量をどう発揮するかが問われる時に「リーダーシップ」という言葉が使われます。

今日はメンバーシップとフレンドシップということについてお話をします。

メンバーシップというのは、組織の中における自分の役割を自覚して頑張ることで、組織の発展に貢献する、それをメンバーシップといいます。

会社の中では、スタッフ一人ひとりが会社の中における自分の役割を自覚して、会社の目指す目標達成の為に頑張る時に、「メンバーシップを発揮して」ということになります。
その時に、大事なのが仲間との関係の深まりです。

同じ仲間が仕事で悩んでいる、困っている、たくさんの仕事を抱えている時、仲間としてどうあるべきかを考えるのがメンバーシップを発揮するということになるかと思います。

なぜ、このことを考えたかと言いますと、一昨日、Kさん(女性)のお見舞いに行きました。グループホームに入所したという手紙が来たので、受け取ったその日にM市まで行ったのです。

Kさんとは20年近いお付き合いで、みやざき中央新聞の読者さんとしては草創期からずっと応援してくれた一人です。
83歳ということでしたが、大変お元気でした。普通に歩けるし、おしゃべりだし、何よりまだまだ長生きするぞいう気合いがありました。

ほかの入所さんは気が抜けていて、自分の生活もままならない状態なので、そんな人たちと一緒の施設にいることが悲しくて悲しくて、自分をこの施設に入れた息子、娘を恨んでいました。

ご主人がなくなり、一人暮らしは心配ということで、東京に住む娘、息子がお母さんをここに入れたそうです。

Kさんが一番つらいのは、自由に外出できないことでした。誰か付き添いがいないと外出できない。その時は3日前に申請しなければ認めらないそうです。だから一日中、施設の中にいます。それが耐えられないと言ってました。

それで、自分のお気に入りのお店があって、以前はそこによくランチに行っていたと話していました。

僕は不思議に思いました。
Kさんは、ある宗教団体のリーダーでした。小さな集会ではみんなの前で講話をしていました。信心深く、熱心に活動されていました。

僕もよく勧誘されていました。一応お付き合いで、一番ランクの低い「ナントカ会員」になって、機関誌を購読していました。そして、年に一度の大きな大会の時だけ、顔を出していました。別に問題のある宗教ではありません。普通の良心的な宗教です。
ただ、僕自身、みやざき中央新聞の編集長という立場もあって、入信することはありませんでした。
でも、Kさんのことは大好きだったので、お付き合いだけはずっとこの20年間、続けてきたのです。

宗教団体というのは、ものすごい団結力があります。
選挙の時も一致団結します。価値観が同じなので、その宗教団体の中だけの人間関係になって、それ以外の人たちとはあまり深いお付き合いをしない人が多いようです。

逆に、信心深い人を深いお付き合いになると、入信を勧められるわけですから、入信したくない人はお付き合いしませんよね。だから、どうしてもその教団の中だけの人間関係になっていく傾向が強いのではないかと思うのです。

そういうわけでKさんには以前一緒にその宗教で活動していた仲間がたくさんいるわけですから、その人たちが時々来てくれて、ランチに連れ出してあげたらいいのにと思ったのです。

ところが、メンバーシップは強烈なのですが、その組織の中での役割が終わると、一切の人間関係が切れてしまうようです。

誰一人「ランチでも一緒にしましょう」と言ってやってくる人はいないのです。

組織の中の役割が終わると、もう関係ない人になってしまうのです。

そこでふと思ったのがフレンドシップでした。
つまり、組織の中で活動できていた時はメンバーとして活動してわけですが、友達ではなかったということです。

たとえば、スポーツだったら、チームのメンバーとして、メンバーシップを発揮して試合を一緒に闘うわけですよね。でも、その中に友情が芽生えて、引退した後でも友達としてお付き合いすることはよくあります。

だから、一緒に活動する中で、親しくなり、友達になっていき、その組織の中での役割が終わった後も友だちとしてお付き合いする関係、これが一番いいと思いませんか。

そういえば、僕の父も、定年退職した後、かつての同僚とお付き合いするということはありませんでした。誰も訪ねてこなかったし、父は定年後、ずっと家にいました。

人生で一番大切なのは、ある意味、家族以上に友だちだと僕は思っています。
家族はいつかバラバラになります。あまり仲のいい家族じゃなかったら、親子でも兄弟でも冠婚葬祭の時しか顔を合わせないこともあります。

仕事以外のことで悩んでいたり、困っていたら、友達としてどう接していくか、これがフレンドシップです。

そういう関係が職場から生まれたらサイコーですよね。皆さんには、仕事と関係ない友だちがいると思います。
じゃ、職場で出会った仲間とは、ただ仕事をするだけの関係で、ここを辞めたらもう人間関係がなくなるというのは、先ほどのKさんのケースと全く同じですよね。

だからといって、無理に付き合う必要はないわけで、友達というのは、気の合う仲間ですから、無理に付き合っている友達はいません。

お互いに友だちという意識であれば、それでいいわけです。
たまにはご飯食べたり、互いにイベントを誘い合ったり、そんな関係がずっと続くといいなぁと思っています。

人生の一番の宝物は、実は友達です。

フレンドシップのある関係を、会社の中にもつくれたらサイコーの職場になると思っています。