水谷もりひとブログ

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コンピュータではできないこと

いつの時代もそうですが、その時代時代によって価値あるものがあります。
価値あるものというのは、一つには数が少ないもので、魅力があるものです。
ダイヤモドが、鉄やアルミくらいの生産量があったら、ダイソーで売っていると思います。
ダイヤの生産量は世界的に少ないし、かつ、あの輝きや堅さに魅力があるので、価値があるわけです。
ただ数が少ないだけで魅力がなかったら価値は下がります。
ショルダー式の携帯電話とか。
数は少ないけど、誰も欲しがりません。

僕らの世代(1984年卒)が高校や大学を卒業して社会に出た時には、まだパーソナルコンピューターはありませでした。
当時はスーパーコンピュータといって、学校の教室くらいの大きさがないと入れないくらい大きいのがコンピューターでした。
何をするのかというと、情報の記憶と情報の処理です。
この能力は人間を超えていました。

それと同じ機能を持ったパーソナルコンピュータが90年代のはじめ頃から市場に出てきました。当時は数が少なかったので値段も高かったです。
うちが最初に買ったパソコンは一台50万円しました。メイドインジャパンでした。

今は4、5年置きに買い替えるのが普通になるほど値段も安くなり、大量生産の時代になったので、パソコンそのものの価値は大きく下がりましたね。

パーソナルコンピュータがなかった時代、どういう人間に価値があったかというと、
コンピュータのような頭脳を持った人です。
何でも知っている。記憶力がめちゃくちゃいい。頭脳明晰。
そんな子が学校に一人、二人しかいなかったので彼らにものすごい価値がありました。
東大に入れるほどの成績にいい子がいると、学校の自慢でした。
「我が校から東大、九大に何人入ったか」これを県立高校と私立高校が競っていました。

当時はいい大学を出ただけで価値がありました。
高い値段で売れました。つまりいいところに就職できました。
今もそういうところはまだありますが。

今、コンピュータは誰でも持っています。
何か知りたい、調べたいことがあったら、頭のいい人に聞かなくても、コンピュータに聞けばすぐ分かります。
もうコンピュータのような頭脳を持っている人、それだけでは価値がなくなったんです。

今の時代、本当に価値あるものとは何か。
数が少なくて、魅力を秘めている。
たとえば、デザイナー、アーティスト、コピーライター。

まさにセンス、感性の時代です。心の時代ともいいます。

その根底にあるのは、相手を如何に喜ばすか、です。
相手を喜ばすというのは、もっと具体的に言うと、リアクションです。
反応・リアクション、これはすなわち相手を認めるということです。

その逆が無視です。相手の存在を認めない。これが一番つらいし、怒りすら出ていきます。

たとえば、レストランで注文をする。
「すみません。コーヒーください」と言ったとき、
無視されたら怒りますよね。

「は?は~い」という気のない返事はどうでしょう。これも頭にきます。
自分の存在が低く見られたからです。

「はい、かしこまりました。すぐ参ります」は、普通に満足します。

「はい、かしこまりました。すぐ参ります」と言って飛んできて、笑顔で対応してくれたらどうでしょう。
=相手は嬉しい。満足、幸せ。また来たいと思うでしょう。

サービス業、営業、というお客さん仕事で大事なことは「すぐ反応する」「笑顔で反応する」。もちろんその相手がお客さんではなく、宅急便の人や新聞の集金の人、同僚同士の関係でも大事なことだと思います。

これができる人は、今少ないです。
そして魅力的な価値があります。

今の時代に自分を価値ある人間に高めていくのはそんな難しいことではありません。
「すばやい対応」「笑顔で対応」
言ってみれば、どんなことにでも心を込められる人。
今はそういう人が少ないから、今、とても価値があるんです。
これはコンピュータではできないことです。