みんな寿命を生きている
ミュージシャンの坂本龍一さん(63)の記事をネットのニュースで読みました。中咽頭がんを患い、その治療に専念するためにすべての仕事をキャンセルしてこの2年間、療養中だったそうです。
ほかの病気はともかく、「がんを告知された」という話になるとドキッとします。
がんは、もはや治る病気である。早期発見・早期治療で完治できる病気になったことは承知の事実ですが、それでも「がん」という言葉の響きは、過去に映画やドラマで、主人公ががんになって必ず最後は亡くなるというストーリをこれでもか、これでもかといわんばかりに観てきたので、やはりその病名の響きは強烈です。
今年になって50代の知人の女性ががんで亡くなりました。「なんで、彼女が?」と納得できなかったのは、彼女は無農薬野菜を作って、直売店や近所のホテルに卸したり、無添加の食品にこだわるなど、食に関しては人一番気をつけていたからです。
坂本龍一さんも、20年以上もマクロビオティックや無農薬有機食品を摂るなど、健康には人一番気を使っていたそうです。
暴飲暴力の生活をしてきた人ががんになったり、その他の病気になるのはそれなりに納得できますが、その知人の彼女や坂本龍一さんなど、食べ物に細心の注意を払ってきた人ががんになるのはどうも納得がいきません。
そもそも病気にならないように、その予防策としてマクロビオティックや無農薬有機食品があるわけですから、そういうものを食べていたとしても、がんになるのあれば、日ごろの努力は何なんだろうと思ってしまいますよね。
現に、うちの母親は結構なメタボだし、若いときから添加物バリバリの「味の素」や「ほんだし」を使い、健康食品なんて全然食べていませんでした。また妻の母親は魚も肉も野菜も嫌いなわがまま偏食家です。それでも二人とも80を越えて、今も元気です。
そういえば、原爆で被爆したという人たちでも、今も80歳、90歳になってもご健在の人がいらっしゃいます。
どうも人間の寿命というものは、人智を越えているんだろうと思います。
がんになって懸命に治療しても亡くなる人もいれば、余命宣告を受けていても完治する人は完治します。
僕の師匠のお1人、スピリチュアルカウンセラーの神光幸子さんは言います。「寿命だけはどうすることもできない」と。
幼くして病気で亡くなる子、事故で突然他界する人、100歳超えても元気な人、それぞれの定められた寿命を生きているのだそうです。
大事なことは、その限りある命を輝かせることができたかどうか、なのだそうです。
「寿命」とは、「寿」の「命」。長い短いじゃない。
確かに、子どもの死はこの世で一番つらい死です。お子さんを亡くされた親御さんには慰める言葉がありません。容易に「寿命です」なんて口が裂けても言えません。
ただ、限りある命と向き合うたびに思うことは、次の時代はもっといい時代になるということです。
その病気は、次の時代には克服されていると思います。
あんな事故は、二度と起こらない時代になっていると思います。
あんな災害で命を落とさないような時代をつくらないといけません。
それでも寿命は人それぞれです。
だから、今日も、この命を輝かせる生き方をしていきたいものです。