水谷もりひとブログ

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遺伝子を刺激する

「科学的に証明する」とは、まず「こうではないか」と仮説を立てて、それが正しいかどうかを実験して、その仮説が正しいことを証明するという手順を踏みます。

脳トレの元祖として知られる東北大学の川島隆太先生は、「意欲を持って取り組むと脳は活性化する」という仮説のもと、ゲーム会社と提携して、子どもたちが大好きなゲームをしているとき、子どもたちの脳はどうなっているかを調べました。

そして、算数の計算ドリルや国語の教科書の素読をしているときの脳の働きも調べました。こっちは子供にとってつまらないというか、宿題だから仕方なくやっていることが多いです。だから「意欲もなく取り組んでも脳は活性化しない」という仮説を立てたのです。

ところが驚いたことに結果は予想とは正反対でした。

子どもが喜んでやっているゲーム。そのゲームをしているとき、脳はまったく機能していなくて、単純計算や文章を読んでいるときの脳は活性化していたのです。

なぜ面白くない、仕方なくやっているのに脳は活性化するのか、その理由が分からず、川島先生はこの研究をやめました。

それから5年後、ある雑誌の取材で、「何か面白い話はないですか?」と聞かれたとき、上記のようなことを話したら、その出版社の人が乗ってきて、川島先生の言葉がその雑誌で紹介されました。
「電子ゲームをするより公文をしたほうがいい」と。

川島先生は、また新たな仮説を立てました。
ゲームの刺激というのは、人間の脳にとって新しい刺激であり、まだ脳はそれにどう反応していいのか分からないのではないか。一方、昔から「読み書きそろばん」というのがあったように単純な計算をしたり、素読をするということは人間が先祖から受け継いだ遺伝子が反応したのではないか、と。

また、黙読は視覚だけでキャッチした情報を脳に送るだけですが、素読して声に出すことで、まず文章を声にすることで口を動かす。息を出す。音声に変換し、それが自分の耳で聞くという二重、三重に機能を働かせますから、それだけ脳が活性化するのは間違いないですね。

それより何より、「遺伝子が反応する」という話に僕は全身が震えました。

私たちは今この時代にポコッと生まれてきたのではなく、数千年、数万年前に生きていた先祖の遺伝子を受け継いで生まれてきたことは間違いありません。
だから昔の人がやっていたことと同じことをすると遺伝子が動き出すのではないかということです。

これってすごくないですか?