あの子らこそ世の光
先日、倫理法人会のモーニングセミナーで聞いた宮崎総合学院の川越宏樹理事長の話は心に沁みました。川越さんの叔父に、川越剛(つよし)さんという人がいるそうです。
剛さんは3歳の時、予防注射が原因で脳の発達が止まり、脳に障がいをもってしまいます。
母親の美代子さんは「この子が生まれた証を世に残したい」と思いました。
そして、ちゃんとした施設で指導すれば一人前の人間になるのではないかと考え、知的障がい者のための施設をつくろうを考えます。
その夢が実現したのが昭和40年。社会福祉法人『つよし会』です。
今から51年前、宮崎県では初となる民間の知的障がい者入所施設です。
法人を「川越剛」の名前で登記しました。
彼は、何も仕事をしていないのに、当時、地元・日南市の長者番付で上位にランクインされました。すごい資産家になったのです。
当初、施設の入所者に対して「この子らに世の光を当てよう!」という声が上がりました。
ところが、母親の美代子さんはこう言いました。
「それは違います。この子らこそ世の光なんです!」
この子たちがいることが世の中のためになっている。
それが証拠に、その施設に雇用が生まれている。
今、社会福祉法人「つよし会」では90人の人が働いています。
その90人の人たちの雇用をつくったのは、あの子たちなのです。
今年7月、相模原市の障がい者施設で、19人の入所者が殺害され、26人が負傷するという惨事がありました。
犯人は、かつてその施設で働いていた男でした。
男は、「入所者は社会に何の役に立っていないので自分が処分した」みたいな発言をしていたそうですが、
「男はかつてこの施設で給料をもらっていた。あの入所者のおかげで生活ができていたじゃないか」と川越さんは憤慨します。
「社会の役に立っていないどころか、ものすごい雇用力をつくっているんだ」と。
「あの子たちは全然不幸ではありません。敢えていうなら親御さんや周りの人たちがそう思っているだけです」と。
しかし、やっぱり子供ですから、自分の家で生活するのが一番いいそうです。
それでも、入所する意義があるのは、家で生活をしていると、どうしても甘えてしまい、
さらに自分で自制できないので、健康管理ができないというのです。
お正月とかに帰省させると、一人の例外もなく太って戻ってくるそうです。
家にいると食べ放題だからです。
だから、一概に「自宅がいい」とは言えないのです。
もうちょっと深く話を聞いてみたいと思いました。
時間が短くて残念でした。