水谷もりひとブログ

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ぶれないこと、ぶれていいこと

昔、杉並区に住んでいた。
杉並区は結婚して最初に住んだ街だった。

今でも富士見が丘駅が懐かしい。

あの頃、「山田宏」という政治家のポスターをよく目にしていた。
不思議とほかの政治家の記憶はない。
ただ、東京ではあちこち引っ越ししていたので、選挙や政治に対する関心は低かった。

「山田宏」という政治家の経歴はすさまじい。
1.まず「新自由クラブ」から東京都議会議員選挙に出馬し当選。
2.この後、「新自由クラブ」は解散したので「自民党」に入る。
3.この後、自民党離党して衆院選には「日本新党」から出馬し当選。
4.その後、「新進党」に参加。次の衆院選では落選。
5.この後、杉並区長選に出馬し当選。区長は3選。
6.その後、区長を辞職して参院選に「日本創新党」から出馬して落選。
7.その後、「日本維新の会」に参加し衆院選に出馬したが落選。比例区で復活当選。
8.その後、「次世代の党」に参加して出馬した衆院選では落選。
9.その後、「自民党」公認で参院選に出馬し、当選。今は自民党の参議院議員。

政治家って波乱万丈というか、安定ということがない。
こういう傷だらけの人生って、ある意味すごいと思う。

ずっとぶれないで自民党。ずっとぶれないで共産党。
それも立派だけど、
時代の波に右往左往しながら生きる人もすごい。
「生きてる」と感じる。

落選してもまた違う穴から出てくる。
それを懲りずに繰り返している。

山田さんのことを上甲晃さんのデイリーメッセージで読んでふと思い出した。

新婚時代に住んでいた杉並区の街角に貼ってあったポスターを。

杉並区長時代、山田区長はレジ袋を有料にした。

「石油製品であるレジ袋を無料で配るのはもうやめよう」と訴えた。
そしたら商店街がこぞって反対した。

「みんな隣の区で買い物をして、杉並区の店では買わなくなる」と。

その反対がすさまじかったので、
山田区長もレジ袋の有料化断念に
追い込まれようとしていた。

これが最後になるかもしれないと腹をくくって集会に臨み、こう訴えた。

「みなさんは商売のプロです。そこで敢えて教えていただきたい。
ポリ袋を無料で配り続けることは、
本当に正しい商売のあり方、正しい商売の道なのでしょうか」と。

水を打ったような静寂が続いた後、
一人の若い商店主が発言した。
「私も今までおかしいと思ってきました。
 しかし、やめられなかった。
 本音を言えば、しようがなくやっていました」

その後、あれだけ反対していた人達が嘘のように立場を変え、
有料化に賛成した。

杉並区は、レジ袋を有料にした。

区民からも反対の声は起きなかった。
それどころか、環境問題が叫ばれれば叫ばれるほど、
「早々にレジ袋を有料化に踏み切った杉並区は、先見性がある」
と、評価されるようになった。

志のある政治家ってすごいね。ま、志があるから政治家になるんだろうけど。

どこから出馬するかはいろいろあっていいかもしれないけど
政治家になって何をしたいのかは、ぶれてはいけないんだな。