経営者の鏡
安野広明さんは公認会計士である。東京でガンガン仕事をしていた。7年前、会計事務所を経営している父親が急死。
突然、田舎に帰って父親の跡を継がなければならなくなった。
田舎は島根県益田市である。
結婚したばかりだった。
奥さんとは「田舎に帰らない」という条件で結婚していた。
しかし、事情が事情である。
「帰らない」という選択肢はなかった。
会社に有資格者がいないと営業ができない。
今いる社員が路頭に迷う。父親が長年築いてきた信頼が壊れる。
安野さんは益田に帰った。奥さんもついてきた。
お二人の決意は並々ならぬものであったに違いない。
一昨日、安野さんが主宰する次世代リーダーの会に呼ばれ、益田で講演してきた。
益田市に講演で行くのは3回目だが、山陰地方の交通インフラの遅れには驚く。
新幹線で新山口で降りてから、車や特急電車で2時間はかかる。
高速道路はなく、バイパスである。
そんな益田市で安野さんは会計事務所を経営しながら、
帰郷して7年で立派に基盤をつくっていた。
会計事務所はもちろん、地域貢献である。
次世代リーダーの会は若手経営者を集めて毎月勉強会を行い、
年に一回、外部講師を招いて講演会を開催している。
自社の(株)ビジネスプランでも
毎年1回、地域の人たちに向けた大きな講演会を開催している。
さらに驚くべきは毎年1月、「コメディ・クラウン・サーカスin益田」を開催している。
親子向けのサーカスである。
イベントのかなめは集客だ。
今回の講演会でも2000円のチケットを
安野さんは訪問して売りさばいたという。
なぜそれができるかというと、
会計事務所の現場は安野さんがいなくても社員さんで回っている。
これは経営者として理想の姿だ。
もう一つ、企業としての理想の姿がある。
安野さんの会社は、自分たちの仕事だけに没頭するのではなく、
地域貢献をしていることだ。
都会と違って山陰地方の人たちは講演を聴く機会は少ない。
だから外の人を招いて話を聴く機会を提供する。
講演会に行くのは誰でもできるが、
主催するのは相当腹が据わっていないとできない。
安野さんの人間の大きさと経営者としての見事さに感服する。
安野さんは40代、イケメン、そして穏やかな性格で、謙虚。
講演に招かれたが、安野さんに学ぶことばかりだった。
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