自衛隊の付属高校
杉田明子さんは、名古屋を拠点に全国で「幸せ収納」というブランドのお片付け指導をしている。昨日、名古屋に行ったついでにちょっとだけ事務所に顔を出した。
いろいろおしゃべりしていると、息子さんの話になった。
息子さんは今、神奈川県横須賀にある陸上自衛隊高等工科学校(以下、自高工)の2年生である。
彼はどうしても自高工に行きたくて、中学卒で受験したが、見事に落ちた。
競争倍率がすごいらしい。
宝塚の音楽学校並で、全国から受験生が押し寄せる。
それで息子さんは地元・名古屋の私立高校に入学した。
しかし、自高工への憧れは捨てられず、
翌年再び受験。今度は見事に合格した。
自高工は全寮制である。彼は16歳で入学したが、
中学を出て現役で入学した子は15歳で国家公務員になる。
自高工で高校教育を受けながら、同時に将来陸上自衛官になるための訓練を受ける。
そして給料が月10万円出る。
携帯電話もスマホも禁止。
親は仕送り禁止。お菓子などの食べ物も送ってはいけない。
寮生活では官品で生活する。
すなわちパンツと靴下以外はすべて国から与えられた服を着る。
アイロンがけも教えられる。
朝起きると掛布団はぴったり端と端を合わせた四つ折りにする。
筋トレもすさまじいらしい。
夏休みは普通の高校の半分くらい。
20日間くらいだそうだ。
制服を着て帰ってくるが、その服をクリーニングに出してはいけない。
制服のクリーニングは自高工でまとめてする。
今ちょうど京都に修学旅行に行っているという。
旅行中の服装も自高工の制服。
ベレー帽もかぶっていて、絶対脱いではいけないそうだ。
あまりにも厳しいので、中には脱柵して逃げる生徒もいるらしい。
しかしさすが自衛隊。教職員を総動員して捜索隊が結成され、
必ず数時間後には見つける。
その捜索費用は親に請求されるというから、
生徒も易々と逃げられない。
一学年300人。
以前は航空自衛隊も海上自衛隊も同様の「付属高校」を持っていたそうだが、
時代の流れか、廃校になり、今は陸上自衛隊だけになった。
杉田さんは言う。
「今の時代、ここまで親もわが子を教育できない。
賛否両論ある学校ですけど、私も息子もこの学校が大好きです」
彼は、もらったお給料で、お歳暮とお中元を親と祖父母に送ってくる。
それを受け取るたびに祖父母は涙を流すそうだ。