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死の持つ重み

お正月気分が覚め、2019年が始動した1月15日、
関西特派員の大槻博美さん(59)が病気のため他界しました。

みやざき中央新聞に多大な貢献をした貴重な人財の一人でした。


彼のことを考えていたら、ふと栗城君のことを思い出しました。

登山家の栗城史多(のぶかず)、
昨年、8回目のエベレスト登頂を目指しながら、
7400メートル地点で力つき、帰らぬ人となった男です。

栗城君は随分前から講演活動をしていたので、
取材しその内容を掲載したいと思っていました。

しかし、事務所というか、秘書なのかな、そっちサイドで許可が出ませんでした。
かなりガードが堅かったんです。

エベレスト登山にあたっては100万円くらいの登山料が必要です。
ですから彼は講演活動をして、登山料を含むその他諸々の経費を作っていました。
なので、録音されて、その内容が広く伝わってしまうと、
講演会活動に支障があると思われていたのかもしれません。

それでも一昨年、知り合いのツテで何とか許可をもらえ、
掲載することができました。

結局、なぜ「単独、無酸素」にこだわったのか分かりませんでしたが、
本当に残念な結果となりました。

いろいろ悪口・陰口を言う人もいたようですが、
それ以上にたくさんの人から愛された男でしたね。

彼は人生を賭けたエベレスト登頂を目指しながら、
力尽きたわけですが、幸せだったのではないでしょうか。

彼がいつの日かベッドの上でチューブに繋がれながら
人生の最期を送るなんてことはあり得ないでしょう。

志半ばで息絶える。これが最高の人生の終わり方です。

だって、エベレスト登頂を果たした人で
何人の人の名前を言えますか?

登頂したとか、しなかったではなく、
どれだけ多くの人の記憶に残ったか、だと思うし、
それ以上に、本人が自分の使命を見つけ、
そこに命を賭けたわけですからこれ以上の幸せはないですよね。


そう思うと、大槻さんの死も、
栗城君となんら変わらない重量感があります。

特派員になってわずか4年。病気になって2年。
最後の1年は、人工肛門を付けながら12本の取材をしてくれました。
どれもこれもみやざき中央新聞の歴史に残る記事になりました。

講演会とは、本と違って
「川の流れ」のように、聴いても聴かなくても
どんなにいい内容でも、
終わってしまうとその講演は二度と聴けません。

誰かがそれを記録し、活字にすることでしか残りません。
講演CDという音声もありますが。

京都・清水寺の森清範貫主(かんす)の講演なんて
誰が聴くことができますか?
普通、聴く機会はないと思います。
大槻さんのお陰で、あの素晴らしい内容も残りました。

1月15日、彼もまた志半ばで帰らぬ人となりました。
それもまた大槻さんの生き様です。

僕らも50年以内に確実にあの世に行きます。
大槻さんや栗城君以上の重量感のある人生の足跡を
残すことができるか。
できなかったら彼らに申し訳ないですね。
残しましょう、その足跡を。