禁戒と勧戒
私たちは、過去でもなく、未来でもなく、「今ここ」で生きています。にもかかわらず、過去に起きたつらい出来事を、
「今ここ」に持ってきて悩んでいる人が多い。
あるいは「このままいくとどうなるのだ」と、
将来の不安を「今ここ」に引き寄せて心配している人も少なくありません。
意識はエネルギーだといわれています。
過去や未来にたくさんのエネルギーを使うと、
「今ここ」を生きるために必要なエネルギーが残らないそうです。
「今ここ」に意識を向けるため、
ヨーガ・スートラには二つの基本姿勢があります。
一つは「禁戒」。
「これだけは絶対にやらないこと」を決める。
たとえば「人の悪口を言わない」とか。
もう一つは「勧戒」。
これはその反対で、「積極的にやること」を決め、実践する。
たとえば「ごみ拾いをする」とか。
そうやって意識のエネルギーを「今ここ」に向ける。
日常の生活とは「今ここ」を生きる修行なのですね。
自分が決めたことを自分が守るという修行です。
2017年2月16日号社説より