水谷もりひとブログ

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悲劇は、楽しむためのお芝居です

市民劇場が主催する
シェイクスピアの四大悲劇のひとつ『マクベス』の
お芝居を観てきました。

コロナ禍にあっても演劇は上演されました。
映画やテレビの収録と違って、
演劇に「撮り直し」はありません。
「今ここ」の真剣勝負です。

劇団が一旦全国を回り始めたら
コロナでも止められません。
これはすごい!と思いました。
コロナ禍で劇場に行くのが怖い人は観なければいいだけです。

『マクベス』は何がすごかったっか。
役者の演技です。

尊敬し、慕っている王を殺して
自らが王になろうとするマクベスの心の葛藤。

こんなふざけたストーリーはバカバカしいと思うのですが、
そういう常軌を逸して、鬼のように豹変した人間が
どんな顔になるのか。
どんな日常を送り、
どんな呼吸をするのか。
役者はマクベスになり切っていました。
いや、マクベスが憑依していた感じです。
圧巻でした。
お芝居は、ストーリーを観るのではなく、
演技を観て楽しむ芸術です。


悲劇は誰の人生にも訪れます。
自分だけ喜劇の主人公ってわけにはいきません。

たとえ悲劇が訪れても、
「悲劇」と思い込んで乗り越えるしかありません。
「劇」だから、その主役になりきって演じるのです。

そうしないと、悲劇は去っていきません。
「悲劇」はやがて終わります。
終幕があります。

だから観客もハラハラドキドキしながらも、
どこかで安心して観れるのです。

悲劇だって「楽しむもの」ということを
『マクベス』は教えてくれました。

「悲劇」を、「あぁ面白かった」と言って観終わればいいのです。
主人公だって、台本通りに演じているのですから。

大丈夫、訪れる悲劇は「劇」です。
演じましょう。
見事に、悲劇の主人公を。

終わったら、拍手喝さいです。

神さまが台本を書いています。
『マクベス』はハッピーエンドではありません。
最後まで悲劇です。

でも、終わったらカーテンコールがあって、拍手喝采です。
あなたの人生もそうなっています。
カーテンコールはみんな笑顔です。

だから今日も大丈夫です。
笑顔を忘れず、行ってらっしゃい。