三重の生を味わう
毎朝、ある本を1ページだけ読んでいます。『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社)です。
今日は童話作家あまんきみこさんの言葉に
はっとしました。
「人は木の年輪のように生を重ねてきた」
木の年輪を心に例えています。
年輪の中心は赤ちゃんの時代。
その次に幼年期、少年少女期、青年期、壮年期、老年期です。
それぞれの時代を私たちは生きてきたんですね。
だからそれぞれの時代を思い出すことができます。
ふとした瞬間にその時代のことが甦ることもあります。
あまんさんは妊娠した時、
「お母さんが自分を妊娠した時、こんな思いだったのか」と
お母さんの思いと自分の思いを重ね合わせて、二重の幸せを感じたそうです。
子どもが生まれた時は、
その時のお母さんの思いを自分の思いに重ね、
同時に赤ちゃんの感覚を子どもからもらいました。
「私が赤ちゃんの時はこんな感じだったんだ」と。
子どもの成長の節目節目で、
「この時、母はこんな思いだったんだ」
「この時、私もこうだったんだ」と
三重の人生の思いを重ねながら子育てをしてきたそうです。
こういう発想を61歳になって初めて知りました。
私は今61歳ですが、
61歳の父を思い浮かべたら、
「あの時、父はまだまだ若かったんだな」と思います。
自分の年輪と父の年輪と子どもたちの年輪を重ね合わせてみる。
すると自分だけじゃない。
三重の人生を生きることができる。
いろんな思いを追体験できる。
切なくなったり、喜びを感じられたり、
人生ってこういうものなのかと初めて実感しました。