ウサギと競争したカメ
カメはなぜウサギと競争したのでしょう。ウサギに「どうしてそんなにのろいのか」とからかわれたカメは
「なんとおっしゃるウサギさん、それならおまえをかけくらべ」と
勝負を挑んでいます。
「勝負しよう」と言ったのはカメだったんです。
浅田真央ちゃんがイチローにバッティングで挑んでいるようなものです。
もちろんイチローは真央ちゃんをからかったりしません。
真央ちゃんも
「なんとおっしゃるイチローさん、それならあなたと勝負します」なんて言いません。
「はい、私はスケートの選手ですから」と言うと思います。
カメも「そうなんです。私は水中を泳ぐ生き物ですから」と言えばよかったんです。
実は昨日、白駒妃登美さんが主宰する「和ごころ大学」でお話ししたのですが、
依頼されたのは昨年の6月頃でした。
この10ヵ月間、悩みました。
「和ごころ」の「大学」ですから、何をお話ししたらいいのかと。
ある日、気付いたんです。
自分は「教える人」ではないということを。
専門知識もないし、偉そうなことを教える体験もしてこなかったし。
自分は「伝える人」だったと気付いたら、
今まで日本講演新聞で取材した面白い話を伝えようと思いました。
「先生」じゃないんだから
「教えようとしない」「教えなくていい」と割り切ったら楽になりました。
「自分は何者か」を知って、その生き方でいいんだと割り切れば
人生を楽しむことができます。
ウサギとカメの物語は、「そんな競争はしなくていいんだよ」ということを
教えてくれているのです。