立ち読み③『心揺るがす講演を読む2』
『心を揺るがす講演を読む2』(ごま書房新社)が発売されます。それに先駆けて、
その中身を少しだけ公開します!
今回は
戦没画学生の絵を集めた「無言館」館長 窪島誠一郎さんです。
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「無言館」は「反戦平和の美術館」といわれます。
確かに彼らの絵の前に立つと、
二度と起こしてはいけない戦争のことや今ある平和の大事さを考えさせられます。
これは「無言館」の持っている宿命的なメッセージです。
ただ、彼らの絵は決して反戦平和運動のために描かれた絵ではありません。
戦地に向かう彼らは何を描いたのか? それは愛する人や大好きな人でした。
ある若者は妻を描き、ある若者はかわいがっていた妹を描き、
ある若者はお父さんお母さんを描き、
「自分はここに生きている。
そしてこの人たちの愛によって自分の命は育まれている」と
愛や感謝を刻んで戦地へ発ったのです。
ですから「無言館」に並ぶ画学生たちの絵は、
戦争を犯してしまった愚かさを訴えると同時に、
そんな愚かな時代の中ですらも
「人を愛すること」を忘れなかった人間の素晴らしさを訴えています。
昭和19年、フィリピンのルソン島で
27歳で亡くなった日高安典さんという方がいました。
「無言館」ができて2年目のこと、
日高さんの絵のモデルを務めたという女性が訪ねて来られました。
その方が「無言館」にあるノートに残した文章を読ませていただきます。(文責編集部)
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日高安典さん。私とうとうここへ来ました。
私、もうこんなおばあちゃんになってしまったんですよ。
だって、安典さんに絵を描いてもらったのはもう50年も昔のことなんですもの。
今日は決心して鹿児島から1人でやって来たんです。
70を過ぎたおばあちゃんにはとっても長い旅でした。
朝一番の飛行機に乗って、東京の人混みにもまれて、信州に来て、
そして…そしてこの絵の前に立ったんです。・・・・
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